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知床の「人」紹介vol.6~「そこに暮らす人が気軽に何かを企画して楽しめるようになるといいな」。知床での日常の中で創作活動を続けるアーティスト

※こちらの記事は2021年10月6日のInstagramの投稿より引用・再編集したものです。

2020年春にご夫婦で知床・斜里町へ移り住んだ山田真一さん。
知床世界遺産センターの職員として働くかたわらで、ライフワークでもある音楽制作を活かしたイベントを企画したり、独特の視点から場所をとらえた置物づくりをするなど、多様な創作活動を続けているアーティストでもあります。

ご自宅のある斜里市街地から職場のあるウトロエリアまでの40kmの距離を行き来する中でどんなことを考えながら毎日を過ごし、どんなことを考えながら創作活動を続けているのかを尋ねてみましたので、ご紹介いたします。

東京都練馬区のご出身である山田さん。
バンドやギターがブームとなっていた10代の頃にギターを始めたことを機に、山田さんの音楽人生がスタートしました。

ライブを見に行ったり、ご自身もバンドを組んでライブステージで演奏するなど、長い間音楽活動に打ち込んでいましたが、あるとき、バンド内にいた網走市出身のメンバーを通じてひとりの女性と出会います。
それが清里町(斜里町の隣町)出身の奥さま。当時はあっという間に意気投合し、気が付くと一緒にいるようになっていたそうです。

音楽を聴きに行ったり映画や演劇を観に行ったり……ふたりで東京での暮らしを楽しんでいましたが、奥さまが地元へ戻ることを希望しており、まずは奥さまが斜里町での就職先をみつけたため移り住むことに。
その後山田さんも無事に知床世界遺産センターでの就職が決まります。

「観光地で働くというのは初めてでしたが、いい経験をさせてもらってるなって思います。知床世界遺産センターでは観光の相談をされることもあって、特に雨の日の過ごし方に迷っている人が多いです。僕は知床博物館や北のアルプ美術館が好きなのでよく紹介するのですが、皆さんとても喜んでくれます。そういうときはすごく嬉しいですね」


プライベートでは2021年夏に、続けている音楽制作活動を活かし、好きな場所のひとつでもある北のアルプ美術館で「本と音」(https://www.instagram.com/hon_to_oto/)というイベントも開催した山田さん。その中で、小さなイベントでもいいので「気軽に何かを企画して楽しめる場」があるといいなと感じたといいます。

「『本と音』のイベントは、年2回くらいのペースでやれたらと思っています。自分がやることで、こういうイベントもありなんだと伝えたい。何かを始める、ということのハードルが下がって、いろんな人が何かやってみたいと感じてくれるようになったら嬉しいです」

穏やかながらも、静かに燃えるような熱を持って語ってくださる姿が印象的でした。

山田さんが場の雰囲気に合わせて即興でつくる音楽をBGMに読書を楽しむイベントです。
会場は、斜里町市街地にある私設美術館。館内の展示物もとても素晴らしいです。


地元を離れ、知床で過ごす中で何か変化はありましたか?と尋ねてみたところ、

「知床へ来て、子どもが生まれて…最近はいろいろフラットな気持ちになったかなと感じてるんです。いい意味で、東京で暮らしていたときと変わらなくなってきたというか。日々の何気ない暮らしを楽しめています。それと、生まれてからずっと地元にいたので、知床へ来たことで初めて故郷というものの存在を感じるようにもなりました。生まれてきた子どもにとっては、知床が故郷。たくさん故郷を好きになってほしいです。……ちなみに僕は斜里の夜の街も好きです」とのこと。

山田さんが作っている置物(@unknownplace_chizunai)のテーマや着眼点も独特で魅力的なのでぜひご覧いただければと思います。
他にも2022年10月から毎月「今日のオホーツク海」というタイトルのZINE(個人で制作した冊子)を発行するなど、ますます創作活動の幅を広げている山田さん。

これから先、山田さんが知床でどんな景色に出会い、どんなふうに暮らし、それらがどんな音、どんな形、どんな言葉となって生まれてくるのでしょうか?

これからも知床エリアで山田さんによるイベント開催などがあった際にはお知らせいたしますので、ぜひ楽しみにしていてくださいね。

▼2022年12月10日追記
来週12月17日には、第2回目の「本と音」が開催されることになりました。お近くの方はぜひお立ち寄りくださいませ!

「本と音」のリーフレットのデザインは山田さんの奥さまによるもの。共同制作、素敵です。