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徹底考察!『星の記憶』に隠された謎!(前編)

2007年に「SOUND HOLIC」により発表された東方二次創作アニメーション作品『星の記憶』。今なお数多くのファンに愛されている本作品だが、未だ解明されていないストーリー上の謎が存在することを貴方は知っているだろうか? 本稿ではそれらの謎について考察し、作品内で語られなかった真実を暴き出そうと思う。

第一の謎:なぜキナコは地球軍のスパイとなったのか?

「愚かな王だ。どちらに勝利の女神がついているのか、気づいておらぬようだな」

地球人を滅ぼすと豪語するマリウスに対し、ジーベンが不敵な笑みを浮かべて自軍の勝利を確信する───

キナコが地球人の内通者であることを示唆する、とても印象的なシーンだ。しかし残念なことに、キナコが地球人とつるんでいた理由は作品内で明かされていない。

マリウスは紅魔館に十六夜咲夜というスパイを送り込むほど用意周到な人物だ。そのため、地球の軍勢にも同様のスパイが紛れこんでいた可能性が高いと考えられる(冒頭で月の軍人が、地球人の月侵略について「人類の成長が早すぎる」「全て想定外」と話しているため、実際に存在したとすれば月のスパイというよりマリウス直属のスパイだろう)。

キナコが地球人と連絡を取ることはリスクの高い行動であり、それに見合うメリットか、協力せざるを得ない何らかの事情があったに違いない。

キナコは地球に来たことがある説

「薬の情報を隠され、その腹いせに私たちを殺し、死体を宇宙に流した……」

八意オモイカネが事故に見せかけて殺害されたとき、助手であったキナコも命を奪われた。そして二人の死体は宇宙へ放出された……かに思われた。実は、キナコは密かに生き延びており、完成させた蓬莱の薬で永遠の命を得て難を逃れていた。

ここからは筆者の想像だが、キナコは月を脱出したのち、地球に一度流れ着いたのではないだろうか?

キナコは地球人との交流を重ねるにつれて月人の傲慢を理解し、マリウスへの復讐に加えて月人の絶滅を企てたのかもしれない。そして長い時間を地球で過ごし、マリウスがキナコのことを忘れた頃合いを見計らって月に帰還した。地球人はキナコに変装の技術(白髪の染め方)を伝授し、月へ帰る手伝いをしたのだろう。

このような経緯でキナコと地球人の間に協力関係が生まれたと想像される。

第二の謎:なぜキナコはマリウスをオーバードーズで殺害したのか?

「オーバードーズよ」

月に戻ったキナコは、まず最初に蓬莱の薬の研究に携わる職務に就いたと思われる。そして、すでに持っている蓬莱の薬に関する知識を発揮して研究の成果を次々と上げ、マリウスに取り入ったのだろう。「神をも超える力」を求めていたマリウスにとって、蓬莱の薬への鍵となるキナコは願ってもない存在だった。

こうしてキナコはマリウスの部下となり、仇敵への復讐に十分な地位を手に入れた。単純に殺すことが目的であれば、寝込みを襲ったり、食物に毒を混ぜたりなどの手段が考えられるが、月軍の総大将を討ち取るのに並大抵の方法では敵わないだろう。

それでも、「蓬莱山輝夜の力を借りて」「蓬莱の薬を2個作成し」「蓬莱の薬を2個服用させる」方法は非常に回りくどいと言わざるを得ない。どうしてこのような殺害方法を取ったのか?

蓬莱の薬オーバードーズ、宇宙で最も苦しい死に方説

「そして、私はそこで再び……再びあなたに家族を奪われたのよ」

キナコはマリウスに家族を2度も奪われた。その苦しみをマリウスに思い知らせるためには、普通の殺し方では満足できなかった。

八意オモイカネが生前に研究していた物質でマリウスを死に至らしめるというのは、それがたとえ手間のかかる手段だったとしても、キナコの復讐心を満たすには十分だったのだろう。

この殺害方法に筆者が一つ想像を加えるとするならば、この「蓬莱の薬オーバードーズ」という死に方は、宇宙で最も苦しい死に方だったのではないだろうか?

「ぐああああああっ、苦しいっ!」

蓬莱の薬は、本来は服用者に永遠の命を与える薬である。そのような薬を過剰服用した場合、使用者は永劫に似た苦しみを味わうのかもしれない。

一般向けアニメーションなのでマリウスが苦しむ姿はソフトに描かれているのだろう。本当の意味で(純化された)苦しみを与えられたマリウスは見るに堪えない光景であり、それを直視したうどんげ達は一瞬でも同情の気持ちが芽生えたのではないだろうか。

「サクラ、……これが、これが貴方のしたかったことなの?」

(後編へ続く)