【読書メモ】ルパン傑作集(X) 棺桶島(モーリス・ルブラン)
訳:堀口大學
第一部と第二部とありますが、第一部「ベロニック」の「プロローグ」と「1 無住の小屋」のみあらすじと感想を書きます。この範囲内のネタバレ有りです。
プロローグ
1902年6月にデルジュモン事件があった。巨石建造物研究家のアントワーヌ・デルジュモンが娘のベロニックと散歩中、4人組の男に襲われ、ベロニックが連れ去られたのだ。犯人はアレクシス・ボルスキー。伯爵と名乗り、王家の血筋とも称していたが、悪評高い人物だった。ベロニックとは恋仲だが、ベロニックの父親のアントワーヌからは嫌われていた。
なんだかんだで2か月後に2人は結婚したが、アントワーヌは復讐のため生まれた孫を誘拐。ヨットに乗せて連れ出したところ、ヨットが沈没して2人とも死亡。ベロニックはそれを受け、修道尼院に身を寄せた。
この状態で結婚!
1 無住の小屋
ベロニックはル・フーエの村にやってきた。デュトレーリ探偵社から届いた手紙を読み返す。1917年5月に依頼した2件の調査結果について記されていた。
一件は夫ボルスキーの行方について。彼は戦争の動乱の中、何者かに刺殺されていた。埋葬場所はフォンテーヌブローの森。彼の死については奇怪な点がある。生前、数人の神秘学の大家から「汝は友人の手にかかって果て、汝の妻は十字架にかけらるべし」という予言を告げられ、気に病んでいたらしい。
もう一件は、ある小屋の場所について。ベロニックは3週間前、「ブルターニュの伝説」という映画を見た。そこにたまたま映り込んだ無住の小屋の扉に「V.d'.H」というサインが書かれていた。それはベロニックが娘時代に手紙などの署名に使っていたものだ。何故それが小屋に書かれているのか気になり、調査を依頼していた。そして今、ベロニックはその場所にやってきた。無住の小屋は荒れ果てていたが、例のサインは見えた。サインの下には矢印と「9」という数字が書かれていた。今、ベロニックは人づきあいが全くなく、旧知の者も亡くなったりしていなかった。なのに何故こんなところに自分のサインがあるのか?扉を開けてみた。なんとなく嫌な予感がしたが、それは的中し、老人の農夫の死体があった。一方の手がなく、その外観からは毒殺されたような様相だった。ベンチの下にあった筒の中には、磔にされた4人の女の赤い絵があった。絵の中心に書かれていた女はベロニックだった。そこには例の著名まで書かれていた。また、「十字架にかけられた四人の女」「三十の棺桶」「生かしもすれば殺しもする神の石」との文字が読み取れた。自分の絵には、胴体が縄でぐるぐる巻きにされていた。彼女はその絵をびりびりに破った。そして村に戻り、小屋に死体があることを知らせ、村長や林野監視人らと共に小屋に戻ってきた。しかし死体は消えていた・・・。
その後、彼女はここから一番近いスカールの村へ向かった。村の手前の廃屋の石垣に、一本の矢印と「10」という数字、それに例のサインが書かれているのを見つけた。
一気にミステリーじみてきました。自分のサインや、自分の絵が描かれてるの怖いわ。そして消えた死体の謎。まだルパンのルの字も出てきませんが、掴みはOKな感じ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?