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【読書メモ】もの食う人びと(辺見庸)

概要と、掻い摘んだ感想など。

概要
1992年末~1994年春に及ぶ、著者の「食」の旅をまとめたルポタージュ。様々な国や辺境の地でモノを喰らう!

「人魚を食う」の章では、人魚の元となったジュゴンの肉を求めて旅をする様子が。ジュゴン、今や日本におけるクジラのような扱いっぽいですが、肉は母乳の匂いがしてすごく美味しいらしい。ダイナマイトで気絶させて、鼻の穴に栓をして殺すとかで、動物保護との両立は難しいと。結局、肉は食べられず、ジュゴンの大臼歯を粉にしたものをもらったそうです。あと、人間がジュゴンを食べるのに都合よさそうな神話(親不孝者を神が怒ってジュゴンにした)が印象深かった。。。

「兵士はなぜ死んだのか」の章では、ロシア太平洋艦隊の訓練基地で新兵数十人が栄養失調で入院し、内4人が死亡した1993年の事件をミステリー風に取り上げてます。軍の腐敗と闇が深かった…

「禁断の森」はチェルノブイリ原発事故後の現地ルポ。この当時(1992年末~1994年春)はまだ、原発1~3号機は運転されてたってのにも驚くけど、老人や浮浪者が、危険な30km圏内の元居た村に帰ってきて、そこで摂れたキノコや魚(放射能的に最もやばいらしい)を食べていると言う衝撃の事実がっ。「サマゴン(自家製酒)を飲めば大丈夫」って、「ウォッカや赤ワインは放射能を洗う」という謎理論から来てるらしい。他、「放射能日光浴をたくさんするようなもので、体にいいという面もある」とか、すごい説も…。一度も稼働しなかった黄色の観覧車は、事故を象徴する廃墟のようです。(遊園地開園目前に、あの事故が起きた)

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