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令和DINKs、迷いながら親になる。

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都内在住、IT業界でハードに働き続けた筆者(30歳)が20代後半から苦悩した「子供が欲しいのか分からない、というか考えたくない。」というひとつの本音をスタートラインに、仕事と家族…
このマガジンは月1〜2本で追加され、出産予定日の2022年秋頃にかけて10本程度のマガジンになる予…
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2022年6月の記事一覧

突然5児の母親に!デグーの出産珍事件から想う子育ての始まりと終わり。

私は絶句した、子供が生まれたのだ。 人はあまりにも驚くと、声が出なくなるということを学んだと同時に、今のわたしを正確に描写するなら漫画のように目玉がぼろりとこぼれ落ちる表現がピッタリのように思えた。日中は妊娠初期の地味な食べつわりでなかなかにグロッキーになっていたはずなのに、一瞬でドーパミンが噴水のように湧き上がったようで胃の気持ち悪さは一瞬で吹っ飛んでいった。 まず安心して欲しいのだが、今回生まれたのはわたしの子供ではない。 まだ妊娠7週目目前の初期段階で産まれてしま

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つわりがこんなに「孤独」で「過酷」だなんて、聞いてないんだが。

朝だ。 重い瞼が静かに膜を上げると、いつもの白い天井が視界に飛び込んでくる。頭上にある小窓から差し込む光の具合で、今日の天気が冴えない曇り模様だということがじんわりと脳内で理解されていった。時刻はまだ早朝の5時をすぎたところだった。 ああ、今日も、地獄という1日が始まる。 意識が戻った瞬間に、体の中心にもの暗い気持ちが押し寄せてくる。ただただ目が覚めたことに、これほど絶望したことが今までの人生であっただろうか。既にビンビンと感じる胃の壮絶な不快感と、いまにも脳が割れそう

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不妊症と診断されて、どこかホッとした自分がいた話。

まだ日の登り切らない早朝。 珍しく目が早く覚めてしまったわたしは、まだ横で寝息を立てている相方に目線を落とす。彼を起こさないように一人、そっとベットから起き上がって洗面所に向かい、バシャバシャと顔を洗った。初冬に足を踏み入れ始めた空気が肌にシンと伝わり、水の温度はあっという間に手の温度を奪っていく。 パジャマのままサンダルを履き、玄関の鍵を開けて階段を降りていく。軒先の郵便受けまでたどり着き、パカりと中身を確認するとチラシに紛れて見慣れない茶封筒がポストに投函されていた。

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