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土曜日くん。

スタンプラリーとか、普段まったく興味ないんだけど、なんとなくノリで一個押してしまったら無性にコンプリートしたくなり、仕事の合間をぬっては出掛けている。

横須賀は駅も山を切り拓いてるとこが多いから、駅が緑の🌲匂いと鳥の声に溢れていて、ちょっとした気分転換になる。


駅の外にあるものだから、電車を降りてスタンプ台を目指した。

もう少し時間に余裕があれば、駅の周りを散策したいのだが、終点駅で乗ってきたこの電車に、また乗って戻らねばならない。

少し焦りながら、スタンプを押していると、後ろから大きな少年に声をかけられた。

「スタンプは何ですか」

 スタンプはスタンプだよ〜と思いながら、ああ何のスタンプか聞きたいのだなと思って、

 ここは湯婆婆です。

と答えると間髪入れず

「スタンプはいつまでですか」

と質問がくる。

 多分18日迄だと思います。

「18日は何曜日ですか」

 えーと、えーと、何曜日かなあ

と曜日感覚のない私は少し戸惑っていると、

「スタンプはいつまでですか」とまた。


 18日だと思います。

「18日は何曜日ですか」

 そうね、そうなのよ、えーと、何曜日かな。

電車があと2分で出る。焦る。

「スタンプは何ですか」

 はい、湯婆婆ですよ。

「スタンプはいつまでですか」

そうか、何曜日かわからないとこれは永遠と続くのかと思い、急いで調べて火曜日ですと答えると、

「ありがとうございます!」

とめちゃくちゃでかい声で言われた。
私はサヨナラ!と急足で乗ってきた各駅停車に乗る。


コンプリしたくなり。

はーよかった間に合った。とシートに座ると、どこからともなく、

「今日は何曜日ですか」

という声がする。

扉が閉まる10秒前ぐらいに、車掌さんに聞いている。

「土曜日だよ〜〜はいドア閉まります」

 慣れていた。
  
大きい少年が乗車すると扉が閉まった。人が離れてゆく。

大きい少年はヨタヨタドスンと私のほぼ隣に座った。いいよ、おいでおいでと思っていたから来た。
 
 
しばらくだまっていた。
曇り空。小雨。

始発の各駅停車。人はまばら。

遠くに海が見える。

ぽっかり浮かぶ島。普段より大きく見える。

夕方薄暗く、車内の様子が窓に写る。

私のほぼ隣に、大きな少年がぼーっと上をみて座っている。確実に距離感がおかしいがw
  

まるで、ちひろとカオナシのあのシーンのようだ。

もちろん私はちひろのつもりだが。w
こちらの画像は、スタジオジブリさんの太っ腹な
常識の範囲でどうぞ画像のページからお借りしました。


大きな少年は、ずっとだまっていた。そして、同じ乗り換え駅で降りた。

向かいの特急電車に乗るのだが、その乗り換えまでの間に、彼はまた別の人に今日の曜日を聞いていた。


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