見出し画像

即興台本&お芝居コラボと即興台本の技術的なお話

(サムネイル引用:視聴者さんvs作家さんvs私!?【即興台本/初見読みコラボ】

先日、ProjectShoveL所属、駆け出し声優Vのしきさんと

即興台本&初見読みの演技コラボをさせていただきました。

特にトラブルなどはなく、台本1本(140~200文字想定)、それぞれ3~5分ほどで執筆できましたし試み的には成功したかなーと。

ただ、思ったよりも台本書きの方から反応いただけた状況なので……

珍しく台本執筆の技術的なお話や、コラボの裏話なんかもまとめたいと思います。

↓当日の様子はしきさんのチャンネルのアーカイブでチェックできます↓

即興台本は引き出しの多さが鍵になる

配信中、執筆に使った時間は1本あたり3~5分、長いもので200文字程度になっています。

いただいたお題はこんな感じです

1.あまあま 妹 鯖缶

2.ドS 吸血鬼 リバあり

3.シーチキン

4.絶望する幼女 看護師 点滴 ドジ

正直、あんまり難しいという感じは受けませんでした。

というのも、それぞれのお題にフックになるキーワードがあるので、それを中心に組めば良いのがわかっていたので……

たとえば、「あまあま 妹 鯖缶」の場合、一番台本に落とし込むのが難しいのは鯖缶になります。

なので、鯖缶を使った料理で妹が甘やかしてくれる台本というのが即座に決まりました。

後は鯖缶を使った料理のレシピを記憶の中から拾い上げて、兄の健康を気遣って、おいしくて栄養たっぷりな味噌汁を作ってくれる妹にすれば問題無しと。

今回のようなキーワード優先野即興台本の場合、キーワードの優先順位を決め、自分の知識や定番のシチュエーションを混ぜ合わせて文字に落とし込む作業になります。

正直、記憶の引き出しがどれだけあるかと、残りは書いて身につけるものなので……

後は場数や本人の文章へのこだわり強さが反映されるかなぁと。

個性を消すという武器

創作に対するスタンスは人それぞれで、クリエイティブな人ほど個人的なこだわりがあったりします。

それが作品作りの哲学であったり、ブランドになったりすることもあるのですが……

私の場合は『個性を消す』のが武器になっています。

というのも、私はフリーライターで、依頼があり、条件がマッチすれば何でも書くというスタイルで仕事をしているので……

「クライアントの望まない個性は邪魔にしかならず、掲載媒体によって癖や文体を変える必要があるから」

だったりします。

と、言っても、消そうとしても消しきれない癖や個性というのはあったりするのですが。

即興台本の話に戻ると、私は意図的に個性的な話の流れを作るのを避けています

一番大きな理由だと、余り個性的だと演技する人の負担も増してしまうからです。

ちょっとした台詞や文章ににじむ人物の性格や背景を読み取り、形にしていくのが演技なので……

個性的にし過ぎると感情移入が難しくなり、総合的な完成度が落ちる要因になります。

自分の技術を見せる目的のコラボではないので、バランス大事って感覚で調整も行いました。

また、演技する人にも個性があり、台本にも解釈の余地を残した方が演技幅が広がります。

配信アーカイブのコメントでタイムスタンプを残しているのですが……(シーチキンの技術的なお話参照

本当に、演じ方一つ、感情をこめるポイント一つで、同じ台本でも印象が大きく変わるのが演技です。

演技に絶対的な正解はなく、台本は演じる人の解釈に委ねられるべき

というのが私の台本作成のスタンスだったりもするのですが、即興の演技で感情移入して視聴者の心を揺さぶれるしきさんも凄いですよねーという話でもあったり。

まぁ、消そうと思っても消しきれないのが文章の個性で、それが好みの分かれる原因なこともあるのですけどね。

話を広げるのではなく絞り込んで現実に落とし込む

さて、キーワード優先の台本は基本的に話をいかに広げるかが重要になるのですが……

4.絶望する幼女 看護師 点滴 ドジ

のように、人物が二人の場合は広げ方自体を考える必要があります。

理由は単純で、二人分の台詞を考えれば執筆時間が余分にかかる上、読む側にも負担がかかるからです。

この組み合わせになったのは複数のキーワードをミックスしてみましょうかという私の提案によるものなので、ある意味腕の見せ所でした。

ポイントになるのは、最初から視点を固定することです。

この場合は幼女・看護師の二人のどちらか、あるいは幼女の看護師という特殊設定を持ち出すことになります。

幼女と看護師は設定が浮くと思ったので、ここは絶望する幼女の視点に固定し、看護師とのやりとりを台本に落とし込むことにします。

幼女……看護師……絶望……

じゃあ、「新人看護師が点滴のセット下手で、何度も針刺されて絶望する幼女の台本にしよう」と決めました。

内容が現実的なのはそれだけ場面を想像しやすく、演技のハードルも下がるからです。

新人看護師だけだと不自然なので、ベテラン看護師(おばちゃん)が新人研修で手際を見守っているという設定を加え台本作成完了と。

そんな感じで作ってました。

裏でやってることは他にもあったり

こういった即興性が高いコラボは、お互いの技術に対する信頼や、裏づけが重要になったりします。

別に、失敗してもいい関係ならそれはそれでという感じなのですが……

何せ、お相手にファンがいる状態なので、「台本できませんでした」はシャレにもなりません。

私の台本作成3~5分にも根拠があって、Twitterで自由にお題を出してもらって、即興で台本書き下ろすとか企画何回もやってたりします。

結果得られた時間は20本の平均3~5分という結果でしたから、まぁ、出来るの当たり前という感覚で挑んでいたり。

あとは、台本執筆中は私が喋れなくなりますので、間に読めるように事前に希望伺って台本書き下ろしてたり、フリー台本のストックから一口シチュボ集のリンクお渡ししたり、そこそこ準備はしてました。

フリーランスになると、ただ依頼の仕事をこなすだけではなく、事前にトラブルを防ぎつつ、かゆいところもケアできるかで評判変わったりするので……

割と真面目に動いていましたね。

ちなみに、しきさんも配信画面の構成などにこだわられていたようなので、興味がある方は是非アーカイブを。

こちらがしきさんのチャンネルで、私が台本提供した作品もUPされています


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?