シチュボにありがちなミスマッチと数字の話
「伸びないVはシチュボをやれ」と言う話に対する異論・反論がTLに大量に流れてきて、肝心の「伸びないVはシチュボをやれ」と言う話がまったく流れてこない中で生きているシチュボの台本書き兼プロデューサーです。
先日、シチュボのプロデュースをしているVtuberの登録者数が1000名を突破しました。
プロデュース前が430名ほど、1本シチュボを出すごとに100名ぐらい登録者増やしてて、最新作は投稿から1週間約1万再生、200名を超える登録者増を記録しています。
対よろです。
……とまぁ、伸びてるところだけを見るとシチュボやれという気持ちもわからなくないですし、現場の人間としては伸びたいだけならやめとけと言う話もわかったりします。
が、何でそんなに温度差が出るかという分析情報が不足している気がしたので、記事を執筆しようかなーと。
シチュボの検索から来る人のほとんどは演じる人に興味がない
考えれば普通にわかる話だと思うのですが、シチュエーションボイスは検索需要から伸びるケースが多く、検索から来る人は「演じる人に興味がない状態」からスタートします。
「ヤンデレ ボイス」で検索をする人は、自分の好みのシチュエーションの動画を探したいのであって、演者に興味がわくのは動画が再生された後の話です。
さらに加えるなら、1回だけの再生で興味を持ってもらえる確率はそれほど高くありません。
ユーザーからすれば「数ある動画の中から一回再生しただけの人」なので、印象に残らない可能性もあるからです。
また、動画の検索をする癖のある人は「動画を追う人」なので、Vtuberの視聴者の主流となっている「配信を追う人」とはズレが生じます。
そのため登録者が増えても配信に来てくれる人がほとんどいないというギャップが生じやすくなったりします。
更にいえば、「ヤンデレ ボイス」で検索にきた人が、「この動画を投稿している人はどんな人だろう?」と、興味を持ったとします。
興味を持った人はYouTubeのチャンネルページをチェックする可能性が高いわけですが、Vtuberのチャンネルページは1時間前後ある配信アーカイブがずらりと並んだり、数ヶ月、場合によっては年単位で昔の自己紹介動画が固定されてたりすることが多く……
シチュボ検索から来た人によって魅力的に見えないケースが多くなります。
クリックして見ないとわからない、しかも1時間見続けて外れ引く可能性もあるアーカイブよりも別な人のクオリティの高い動画見た方が楽しくないですか?
そんなわけで、仕組みや人の流れ考えずにシチュボ投稿しても伸びるの大変ですし、見た目の再生数が増えても登録者が増えない状態になりがちなんですよね。
シチュエーションボイスは「演技を切り出すコンテンツ」なので、良いところだけを出して再生数を稼いだり、人に自分の姿や声をアピールするのに向いています。
ただし、その先につなげるのであれば工夫が必要ですし、そもそも再生数とるためにもある程度の勉強、下調べが必要になるので……
単純に楽をできる、伸びられるというものでもなかったりします。
個性を出したいVtuberと個性はおまけな検索ユーザー
Vtuberとシチュボのミスマッチが生じやすい理由は他にもあって、個性の扱いなんかが特に顕著だったりします。
Vtuberは見た目や種族などにこだわりがある方が多いわけですが、では、その個性は一般受けするものか、検索キーワードと親和性が高いかは考える必要があったり。
例えば、シスター系のVtuberがヤンデレを演じたとします。
ギャップが刺さる人がいるはずで、それこそシチュボ一本で登録者が増えるくらいの破壊力が生まれる場合もあります。
一方で、シスターに魅力を感じない人はそもそもクリックしません。
ヤンデレで検索したユーザーの一部が、属性や個性を理由にクリックしない可能性も出てくるわけです。
検索ユーザーからすれば、重要なのはシチュエーションで、感情移入ができるかどうかです。
属性や要素を足せば一部に深く刺さる可能性が出てきますが、全体的なクリック率は下がる可能性も増します。
結果的に、自分の個性を主張したいVtuberと個性は演じるもので付属品という検索ユーザーでミスマッチが生じやすくなり、再生数が伸びないという状態になったりするわけです。
タイトルやサムネイルの雰囲気も含めて視聴者はクリックするかを判断するので、「シチュボ市場のテンプレートやヒット動画の共通点」をチェックできるかも大切ですね。
場の空気を読まずに「僕の・私の考えた再生数の取れるシチュエーションボイス」を投稿しても、悪目立ちしてサムネやタイトルの段階で避けられるのもよくある話です。
自分が好きなのと市場に受け入れられるかどうかは話が別なので、切りわけて考えましょう。
消費者ではなくクリエイターや発信者に回れば苦楽はつき物
これはVtuberに限った話では無いのですが、提供されるものを楽しめばいいだけの消費者と、提供する側になるクリエイターや発信者では考えるべきこと、得られるものは大きく異なります。
特に発信側・クリエイターになると結果を出すために工夫や苦しみ、勉強や努力などがセットになることが一般的です。
楽しみながらこなせる人もいれば、そもそも努力が嫌な人もいるはずです。
これ、普通に結果出そうとするだけでも大変なのに、仕事やプライベートのことと両立しつつVtuber活動でも成功しようとするの大変じゃないですかね?
……そんなわけで、「楽ができる部分があっても、それを学んだりするのには労力が必要だったり、前提を満たすだけの地力が求められたりするので、何もかもうまくいくわけではない」という結論に至ったりします。
何でもかんでも最短ルートを突っ走れる人や、ショートカット使って伸びられる人ばかりじゃないので、回り道したり、失敗して学んだりしながら、自分の人生楽しんだ方が良いとは思いますけどね。
他人は他人で、そもそもの前提が違うので比較しないのをおすすめします。
Vtuber界隈にいるとどうしても数字が目に入りますが、大切なのは自分が出せる数字であって、他人と比較することではないです。
数字の仕組みを理解して、自分の技術に取り入れるとかならいいのですが、次の行動に繋がらない比較は自分を消耗させるだけになりがちですから。
シチュボで伸びるためのハウツー
色々言ってもなんだかかんだ数字は気になるし、伸びたいという人も多いと思うので、簡単にシチュボで伸びるためのハウツーまとめときます。
自分を主張する先に市場をチェック
「やってみないとわからないからやってみた」は間違っていませんし、評価すべきことだと考えています。
ただし、再生数が伸びないなど自分の中で課題が浮かんだら、一度シチュエーションボイスの市場がどうなっているのか
「YouTubeで検索」
してみるのがおすすめです。
男性向けのシチュボ市場、女性向けのシチュボ市場は異なり、ヒット動画もあれば再生数が伸びない動画もあります。
とりあえず、再生数が多い動画の共通点を抜き出し、自分のサムネイル・タイトルと比較してください。
比較したら、次はヒットしそうな動画のイメージ、キーワード、サムネイル、タイトルなどを想像してください。
その上で、考えたキーワードで検索をかけます。
検索結果を見てイメージにどれくらいズレがあったかを確認してください。
常に再生数万単位の動画や、投稿から数日数千再生単位の動画、しかも再生数が登録者の数倍、数十倍の動画を見つけられたらそれが金の鉱脈です。
実際に検索経由で見られているものをチェックし、参考にする、真似る癖をつけ、ヒットが出なかったら何が違うのか見直してください。
「市場に好まれる動画」を作れば再生数が伸びます。
自己主張をしたい場合は、サムネやタイトルよりも動画の中身・演技優先で勝負してください。
サムネのフォントや文字の配置、属性の盛りすぎで損をしている人が多いので、まずサムネの文字が読みやすいこと、見やすいことを優先して「初見に優しくする」のが大切です。
YouTubeのホームは必ずカスタマイズ
YouTubeのホームは必ずカスタマイズを行い、セクションの整理をしてください。
動画をチェックした人は一度チャンネルホームから最近の投稿状況などを確認するケースが多く、リピーターや登録者確保のための重要なポイントになっています。
特にセクションのトップが一番重要なので、下記の戦術を取ると登録者が増えやすくなります。
1.セクションのトップをシチュエーションボイスでかためる
1番上のセクションをシチュエーションボイスでかためて、
検索⇒動画再生⇒チャンネルページ⇒シチュエーションボイスの再生
のリピートを促すパターンです。
検索から人を呼んだ上で再生・登録を促せるのが長所。
また、再生リストを置く場合も、再生リスト名を「○○ボイス」などと検索重視ワードでつなげると人の誘導がしやすいです。
ヤンデレ中心なら、別方向のシチュボよりも「ヤンデレボイス」を連続再生してくれる可能性が高いので調整するのも方法です。
2.人気のアップロード動画を一番上にする
ある程度再生数を持っている場合は、セクションの追加で
「人気のアップロード動画」
を一番上にするのがおすすめです。
理由は、一番目立つところに置けば再生が更に加速され、
「数字を出せる人=面白い、優良なコンテンツを作る人」
と認識されて登録やリピートを促しやすくなるから。
数字持ってる人は単純に強いです。
3.歌動画など短時間で見られる動画を置く
シチュボ以外にも歌などの声のコンテンツ、短時間で見られるコンテンツを中心に配置するのも方法です。
シチュエーションボイスを検索する人は動画中心にチェックしてるので、日ごろの活動との接点を作る意味でも有効だったりします。
配信に人を呼びたいなら間をつなぐコンテンツが重要
シチュボは演技を切り出す動画コンテンツであり、そのまま配信に人を誘導するのは困難です。
そのため、配信に人を誘導したい場合には工夫をする必要があります。
1.日ごろの活動に関連するキーワードをシチュボに織り込む
ゲーム配信中心なら、シチュボの中にさりげなくゲームの話題入れたり、ゲームをタイトルに組み込むなどコンテンツを関連付けることが重要です。
一つのシチュボでは効果が薄くても、何本もゲームに関連するシチュボが投稿されていれば「ゲームが好きな人」という認識が生まれやすくなります。
「ゲーマーな○○が○○するシチュエーションボイス」のように、ピンポイントでタイトルに盛り込む方法もありますが、単体で見た場合はクリック率が低下する可能性があります。
ただし、シチュエーションボイス一覧などで並べると「ゲーマー」というキーワードが目に入ることになりますので、直接的な数字にあらわれない、イメージ付け(ブランド戦略)に組み込むと違いが出るはずです。
濃いファン、自分好みのファン層を作りたいなら長期目線が大切になります。
2.検索のピークタイムや動画投稿日に配信などをぶつける
動画を気に入ってくれた人、チャンネルのコンテンツが気になる人は、動画から一度チャンネルのホームをチェックする傾向があります。
そのため、検索流入が一番多くなるタイミングなどを狙って、記念配信や企画配信などプレミア性が高い配信をぶつけると配信に新規の人が来てくれる確率が上がります。
ライブ配信は貴重性が高いため、気になってクリックしてくれる可能性が高まります。
雑談などの配信でも良いのですが、どうせなら「シチュボの感想交換会」や、何らかの記念配信、台詞読み配信、歌配信など、希少性や声のコンテンツのつながりを作るのがおすすめです。
ちなみに、多くのシチュボは投稿から1~2日が検索流入のピークで、そこからさらに伸びる動画はロングヒットや、爆発的なヒット作に育つことが多いです。
3.自分の切り抜き動画を投稿しておく
YouTubeの検索から来たユーザーはTwitterなどの日ごろの発言なども見て居ない可能性が高く、どんな配信をしているかも想像できません。
そのため、自分の配信の取れ高を集めた切り抜き動画を投稿しておくのも方法になります。
短い時間でチェックできることは動画検索をするユーザーに刺さりやすくなります。
ただし、実際に配信に誘導できるかどうかは純粋に面白いかどうかに依存します。
SNS中心の集客と検索中心のシチュボ集客は全く別
VtuberはTwitterなどのSNS経由で集客を行うことが一般的で、シチュエーションボイスのように検索を意識すること自体が稀です。
一部動画勢は自分の配信の切抜きや、実用系、ハウツーなどで伸びていますが、需要に応えることが前提ですし、意識できている時点で伸び方が変わることも珍しくありません。
一方、シチュエーションボイスはYouTube検索経由・検索需要で伸びることが多く、中小個人が再生数や登録者数を稼ぐのに向いている面があります。
ただし、数字を実際に稼ぐためにはノウハウが必要になるので、安易に稼げるわけではないことに注意が必要です。
また、シチュボで得られるのは動画メインの登録者になるので、配信に人を呼びたいならコンテンツの紐付けや、間をつなぐ何かが必要になります。
あんまり考えるとストレスがたまる、自分のやり方を貫きたいと言う人は数字を切り離すのがおすすめで、自分のペース、自分のスケールでやっていけば良いかなぁと。
再生数ではなく、人の心に刺さる、記憶に残るコンテンツを優先すると言う手法もありますし。
数字を追うということは自分や、自分の作品、人との関係と向きあうことになるので、それだけ大変なのですよね……
楽して取れる数字には本人のコンテンツ力という限界がありますので、自分で選ぶのが大事かなぁと思っています。
効率優先ではなく、息抜きなども挟みつつ、長い目で活動するのがおすすめです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?