HIPHOP

ラッパーが嫌いだった。
というか、ヤンキーが死ぬほど嫌い。

地元の中学は荒れていた。ヤンキーと言うのか不良と言うのか違いはわからないがそういう奴らがたくさんいたし、もっとヤバめの人と繋がっているような奴もいた。わかりやすく言うと、ゆきぽよの知り合いの逮捕された人みたいな感じ。ゆきぽよは同学年で隣区だから、ほんとうにそんな感じ。

詳しいエピソードの一部は過去にもnoteに書いたことがある。
ドリームエンタメラジオ|しらすの底力|note

こんな奴らと一緒にされたくないから中学の卒業旅行には行かなかったし、あんな奴らと二度と関わりたくなかったからちゃんと勉強して高校に行った。

何がきっかけかは全く覚えていないが、自分の中で「ラッパー=ヤンキー」という方程式があった。たぶんどこかでラッパーの風貌を目にしたり、薬物とかのニュースを見たんだと思う。だからラッパーが嫌いだった。


Creepy Nutsのオールナイトニッポンの特番は一回も聴かなかった。他のリスナーがTwitterでどんなに褒めていても聴かなかった。ラッパーが嫌いだから。

そんなCreepy Nutsがオールナイトニッポン0のレギュラーに決まったのが2017年。ラジオをたくさん聴くようになり、各番組の作家さんもわかるようになった頃。あまりにも同じような番組を聴いているリスナーが褒めていて、なおかつ作家が福田さんだったから初回を聴いてみた。

面白かった。
たぶんそれは「ラッパー」としてではなく「ラジオパーソナリティ」として聴いていた部分も大きいのだと思う。別にCreepy Nutsのオールナイトニッポンが面白かったからといってラッパーが嫌いじゃなくなったわけではないし、Creepy Nutsが特別嫌いじゃなくなっただけ。


転機になったのは、R-指定さんがよふかしのうたのリリースでTBSラジオの「ACTION」にゲスト出演したとき。(2019年8月)
その回で同じくゲストだったのが日本語学者の飯間浩明さんで、内容は「よふかしのうた」に収録されている曲の歌詞を日本語学者の目線から紐解き、R-指定さんが答えるというもの。その時の内容が衝撃だった。
ただ早口で歌ってるだけじゃなく、気持ちよく韻を踏んでるし、文脈もしっかり通っているし、二重にも三重にも意味が掛かっている言葉遊び。ラッパーの作詞能力に度肝を抜かれて、ラップというものの深さを知った。

言葉遊びに気付かなくても十分楽曲がカッコいい中で、気付いたらさらに「すげぇ!」となる言葉遊びに、凄いを通り越して「面白い!」と思った。

個人的に「その言葉が使われている本当の意味(言葉遊び)に気づかなくても面白いもの」がめちゃくちゃ好き。例えばバラエティ番組で流れているBGMがその場面や出演者に掛かっていたり、テロップの文言がその出演者の過去の発言に掛かっていたり。
なんなら、そういうものが作りたくてテレビ業界に入った。最終面接で「こういうのが面白いと思うし、自分も作りたい」と言って、社長に「でもそれが行き過ぎると~」と言われた時は、「絶対誰かが気付くし、今ならSNSで拡散されるから問題ないと思います」と答えたくらい。それで採用された。すぐ辞めちゃったけど。


このことがきっかけで、Creepy Nutsの”HIPHOP”という一面が好きになり、半年後の2020年1月にはCreepy Nutsのワンマンライブに足を運び、お台場のZeppで飛び跳ねていた。最高だった。
まさかあんなにもラッパーが嫌いだった自分が、HIPHOPのライブに行くなんて考えもしなかった。

今、全ラッパー・MCバトルが好きかと言ったらそうではない。やっぱり過去に悪さをしていた人や薬物関係で捕まった人、ただディスり合ってるだけで言葉遊びがないMCバトルは苦手というか嫌いだ。でも偏見は無くなった。

Creepy NutsのおかげでHIPHOPという毛嫌いしていたエンタメを好きになることができた。面白いエンタメを知ることができた。
それも全てCreepy Nutsがオールナイトニッポンをやっていたから。オールナイトニッポンが面白かったから。

最後の放送まで楽しみにしてます!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?