武将にされた人たち

歴史に興味があるので、いろんな武将とか調べてみたりするのだけど、一握りの英雄的な人以外はみんな「普通のおっさん」だなと思う。

たまたま武将の家に生まれたというだけで、武将として生きていくしかなかった普通のお兄さん、オジサンたち。もっと身分の高い家に生まれたおじさんに「お前、一緒に戦場に来い」と言われるとついていくしかなかった人たち。嫌々、自分の家の家来を連れて、敵に遭ったら武器を手に戦うしかない人たち。そして最悪は殺される。うまく手柄を立てたら、えらいおじさんに「手柄を立てたのでご褒美ください」というおじさんたち。

ひどい場合だと、両隣に大きなえらい人がいて、両方から「お前こっちに来い。来ないとひどい目にあうぞ」と言われてしまうおじさんもいる。仕方ないので近くのおじさんと相談してどっちにしようか決めて、そっちにつくみたいなことを繰り返す。
「お前、前はあっちにいたよな」とか言われても、ちょっとえらい家なだけのおじさんに「いやいや、あれは気の迷いですよ。本当はあなたの方に味方したかったんですよお」というしかないおじさんたち。

普通のおじさんだからそんなに強くなかったり、選択を間違えたりしてひどい殺され方をする人もいる。でもそれは、武将の家に生まれてしまったから。軍記物語なんかでは忠義を示して死んで行ったり、化け物みたいに強かったり、知恵を絞って逆転したり、実際に才能があった人もいたのだろうけど、ほとんどはただのおじさん。

ただのおじさんだから、腹が立つこともあるし、いじわるすることもあるし、仲間割れしたり、仲が悪かったのに仲直りしたり、友達なのに殺しあったりする。友達が戦場で敵同士で出会って「ああ、誰それさんかい。あんたと殺しあうの嫌だからほかの奴にするわ」と言ってほかの敵と戦ったという例もあったみたい。

すごく偉くて教科書に名前が載るような人でも、やっぱりただのおじさんだなあみたいな人はいっぱいいる。
そんな人たちがあーだこーだやってるうちに、ちょっと要領のいいおじさんが要領よくやる方法を見つけて、それが積み重なって、乱世が終わりに近づいていく。

歴史って、そういうただのおじさんたちの苦労で成り立ってるんだなあと思う。いや、お姉さんたちだって苦労してるんだけど、日本の歴史だとあまり表に出てこないんでおじさんの話にしただけ。

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