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都市には3つの場所がある〜サードプレイスについて

都市に住む人間は、生活を豊かに送るために「3つの場所」をもつことが重要といわれています。

1つ目は生活の基盤を成す「家(ファーストプレイス)」、2つ目は生産・労働の場である「職場(セカンドプレイス)」、そして3つ目が、ファーストプレイスとセカンドプレイスをつなぐ「サードプレイス」という場所です。

この考え方を提唱したのは、アメリカの社会学者であるレイ・オルデンバーグでした。
彼はサードプレイスの代表例として、人が交流するカフェやパブ、サロンなどを挙げています。

サードプレイスとはどんな場所なのでしょうか。

それは「インフォーマルでパブリックな生活(インフォーマル・パブリック・ライフ)の中核的な場所」とまとめることができます。

インフォーマルとは「人との関わり方が形式ばってない」ということで、パブリックな場所とは「公共の場所」ということです。
これに対して「家(ファーストプレイス)」はインフォーマルでプライベートな場所、「職場(セカンドプレイス)」はフォーマルでパブリックな場所という違いがあります。
サードプレイスとは、リラックスしてそこに居ることができるので、「都市の中の憩いの場所」「お気に入りの場所」ということもできます。

サードプレイスでは、社会的立場にこだわることなく「個人」としてそこにいる人たちと関わることができます。
また、自由に来てよいし、自由に去ることができます。
これは、個人の自由意志が保障され、かつ自らの選択が尊重されるということです。

これは家や職場とは大違いです。
家や職場では、「母親-息子」「上司-部下」などの役割(社会的立場)を振る舞うことが求められて不自由だし、出入りする際に他人への影響を無視するわけにはいかないので窮屈です。

ましてや、家と職場の往復だけで日々の生活を営もうものなら、役割を演じることに疲れきって、いわゆる「自分らしさ」を忘失してしまいかねません。
あるいは、周囲から期待された人間関係を築くことができなければ、そのコミュニティから排除されてしまうかもしれません。

サードプレイスは、このような問題を解決するひとつの方法論となります。
そこは、家と職場の“あいだ”にある「お気に入りの場所」であると同時に「自分が自分らしくいられる場所」でもあるのです。

サードプレイスは、都市に住む私たちにとって計り知れない「恩恵」と「救い」をもたらします。

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