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「平塚市幼保一元化に関する 公立園の見直しについて(改訂版)」に関する要望書

 平塚市長 落合克宏 殿
2023年10月2日 平塚市議会議員 臼井照人 江口友子 元島新 渡部亮
   「平塚市幼保一元化に関する 公立園の見直しについて(改訂版)」に関する要望書
本年 8 月に発表された「平塚市幼保一元化に関する公立園の見直し(改訂版)」では、公 立の保育園と幼稚園を民営化および統廃合することが示されています。具体的に、市は、夕 陽ヶ丘保育園は民営化、南原保育園は、ひばり幼稚園と統合し、民間で認定こども園として 整備するとしています。
これに対して、私どもは、多くの方からご意見をいただきました。寄せられたご意見は大 きく分けて2つです。1公立幼稚園の「ひばり幼稚園」は存続させて欲しい 2家庭への養 育支援など福祉的フォロー体制を持つ夕陽丘保育園の存続は必要不可欠というものでした。 以下、その理由とともに要望事項をまとめました。市長におかれましては、改めて再検討し ていただきたく、お願い申し上げます。
【要望事項】
1 ひばり幼稚園と南原保育園を統合する認定こども園は、公立園として運営すること
2 保育需要の高まりに鑑みて、夕陽ヶ丘保育園の民営化は、当面見送ること
【趣旨および理由】
・ ひばり幼稚園は、障害のある子もない子も、ともに育ち合うインクルーシブな幼児教育
の場になっています。「見直し改訂版」では、公立園を、「民間園で受け入れ困難な子
どものためのセーフティネット」と位置付けています。このような位置付けをすると、
公立園は、民間園で受け入れ困難な子どもたちのための園となり、インクルーシブな幼
児教育の場ではなくなります。
・ 4 年前に公立の金目幼稚園とさくら幼稚園が閉園しました。この2園の閉園に伴って、 各園に付随していた「支援枠」も同時になくなりました。その結果、金目幼稚園とさく ら幼稚園で受けていたなんらかの介助1が必要な子どもの就園ニーズが、ひばり幼稚園に 集中したため、ひばり幼稚園の「支援枠」に入園希望者が殺到しました。今年度も、ひ
1 トイレの介助、食事の介助、着替えなど
                       
  ばり幼稚園の「支援枠」は定員いっぱいの状況です。このため、入園を希望するが、幼
 児教育を受けることができないまま、就学するという事態が起きています。
・ 現在でも、民間園から公立園に年度の途中から転園してくる子どもが少なくありません。
こうした子どもたちの中は、民間園で、いわゆる「肩たたき」にあった子どもたちも少 なくありません。全体統一2行動ができない、一定の間、静かにしていられないといった 理由から、民間園の方から、通園を断られるといったことがあります。今後、ひばり幼 稚園を民営化していくとなると、こうした子どもたちの行き場がなくなってしまう懸念 があります。といいますのも、民間園で受け入れられない子どもは、今後、港こども園 (市内夕陽ヶ丘)か土沢こども園(市内吉沢)に通う事が想定されますが、この二か所 の園は、市域の端の方に位置しており、交通利便性が高くありません。また、園バス等 での送迎もないため、通園手段がないといった理由から、幼児教育を受けられない子ど もが出てきてしまうことが強く懸念されるところです。
・ 今回、「改訂版」が出されたことを機に、改めて、公立園がどのようなお子さんのニー ズを引き受けているのか、療育手帳の保持率から関係課のご協力を得て、調査致しまし た。これによると、本市の公立園は、幼稚園においても、保育園においても、療育手帳 を保持する子どもたちが、多く通っていることがわかりました。(添付資料をご参照く ださい)
・ また、施設利用者数における療育手帳保持者の「受け入れ割合」を調べました。これを グラフ化したところ、公立園の「受け入れ割合」は、民間園の「受け入れ割合」の約 2 倍です。特に、注目していただきたいのは、その定着率の高さです。療育手帳保持者が 公立園を利用しているその期間を調べてみると、1 年以上継続して利用し続けているこ とが分かります。(資料をご参照ください)
・ 平塚市は、「見直し(改訂版)」のなかで、「民間園が要配慮児を積極的に受け入れる ことができる環境づくりに向けて、蓄積した保育や幼児教育のノウハウを民間園と共有 するため、研修等の実施を検討する」としていますが、要配慮児を受け入れることを条 件として定員設定を認可しているわけではありませんし、民間園での要配慮児の受け入 れを行政が強制できるわけでもありません。単に「研修等を実施」するだけで受入割合 が変わるという考えは楽観的であると考えます。
2 運動会での全体行進、お遊戯会での集団演劇など
                     
・ また、本市の公立保育園は、お子さんの支援だけでなく、なんらかの支援が必要な保護 者への支援も積極的に担ってくれていることも分かりました。夕陽丘保育園の民営化は、 今後の保育需要の動向を踏まえて、慎重にご判断いただきたいと考えています。
・ 加えて平塚市独自の事情もあります。市内城島にある福祉型入所施設「精陽学園」の子 どもです。精陽学園には虐待を受けて身体的障害を負った子が、児童相談所の措置で入 所してきます。このため、県内他市から、年度の途中で入所するということが少なくあ りませんが、ひばり幼稚園の「支援枠」が定員いっぱいのため、幼児教育を受けられな いといった事態が起きてしまっています。今後、ひばり幼稚園を民間のこども園化をし ていけば、さらに事態が深刻化する恐れがあります。
・ 以上のような理由から、公立園の民営化及び統廃合は、平塚市の優れた社会資源を失う ことになりかねず、また、より弱い存在の子どもを置き去りにしてしまう懸念がありま す。市長におかれましては、今一度、慎重な検討を加えていただけますよう、お願い申 し上げます。
           

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