2021.10.17 秋華賞パドック前見解

【今年のポイント】

❶今年は阪神内回りコース
 京都競馬場改修工事に伴って、今年は阪神内回りコースで行われる。よって過去の秋華賞傾向は全く使えない。
 傾向を見るなら同じ阪神内回り2000mのG1大阪杯の方が意味があると思われる。
 その大阪杯はここ4年4角二桁順位で回ってきた差し馬は馬券内ゼロ。馬券内馬平均4角位置は3.8番手。
 
 阪神内回り2000mの基本的なレース質としては、
 まずスタート直後の急坂からのコーナー突入という形態上前半のペースは緩みやすく遅め。
 後半は3角からの下り坂でペースが上がりそのまま4Fスピードの持続戦となる。
 内回りコースの為コーナリングでの遠心力は強くなり、速いスピードで外を回されると負荷はかなり強くなる。
 よってバイアス的には内・前有利になりやすい。


❷ノーザンファームの意気込み

去年クラシック戦線は三冠馬デアリングタクトやコントレイルによってノーザンファーム馬は惨敗。

 五連覇中だった秋華賞も敗れいいとこなしだった。

 今年はその敗戦から意気込みはかなり強く、桜花賞で上位7頭全て、皐月賞は上位7頭中6頭、ダービーでは上位5頭全てがノーザンファーム生産馬となった。

 そしてこの秋華賞、前年は4頭がノーザンファーム生産馬から出走したのに対し今年は9頭が出走。

1.スルーセブンシーズ

4.ソダシ

7.サルファーコスモス

9.アンドヴァラナウト

10.アールドヴィーヴル

12.アカイトリノムスメ

14.ファインルージュ

15.アナザーリリック

16.ミスフィガロ

の9頭である。

評価的にはこの9頭にいくらかプラスを与えたい。


【各馬見解】

1 スルーセブンシーズ
 前走紫苑Sは内有利のバイアスで、ぽっかり空いた内をするする伸びての2着。3.4.5着の③ミスフィガロ⑥シャーレイポピー②トウシンモンブランも道中はずっと内を走っており、③ミスフィガロは直線外に出して3着、他二頭はそのまま内で4.5着と内バイアスはやはり強かった。
 そんな中勝ち馬ファインルージュは終始外外回って直線も外目を伸びて完勝と、ファインルージュを物差しにするとこのバイアスで内を走った4頭とは力差がかなりあると思われがち…
 が、レースを観てみればわかるが直線入ったところで最内で前が壁となり追い出せない状況があった。前が空いてからは鋭い伸びでごぼう抜きの脚を見せた点から、紫苑Sから評価できる馬はファインルージュ以外にもう一頭このスルーセブンシーズといえる。
 三走前ミモザ賞では道悪の中コーナー捲って直線上がりは2位よりも0.8秒速い35.7で1着。
 オッズとの兼ね合いから、差し展開に予想を振るなら間違いなく買い。前走のように4角位置上げて来れるなら尚更良い。
 

2 ステラリア
 前走オークスは差し展開の中先行二番手競馬なので大敗は度外視。
 二走前忘れな草賞は高速馬場の恩恵とはいえ1:58.0の素晴らしい時計。この勝ち時計は2週後の同じ高速馬場で行われた古馬3勝クラス京橋Sの1:58.5を上回るもの。忘れな草2着のエイシンヒテンがローズSで脅威の粘りで2着に残ったことからもレースレベルは評価できるものだった。
 ピッチ走法で内回り適正もあるが、唯一最大のネックは揉まれ弱い中内枠を引いたこと。オッズとの兼ね合いでいけば買いであることは間違いないと思うが。


3 クールキャット
 三走前フローラS1着以来14着→11着と奮わない成績だが、二走前オークスは1〜11着までが差し追い込み馬の中逃げという展開不利、前走はかかって最後方グループからの競馬と一応説明はつく敗戦。
 ただ、フローラSの優勝は先行馬有利のバイアスに加えルメールJの好騎乗があった。同じように先行利で2着にきたスライリーはその後12着→15着と結果出せず。その実力を裏付ける勝利であったのかは疑問が残る。
 折り合い面で不安がある点、揉まれ弱い中で内枠に入った点など強く推す要素はない。
 かかってハナに立つ展開にでもなれば内枠を利してそのまま残るなんてこともあり得なくはないが。


4 ソダシ
 実績面ではこのメンバ1枚上。
 前走札幌記念では、前傾ラップの中間中だるみという差し馬有利の展開で先行して勝ち切った。しかも相手は古馬G1クラスとなると実力を疑う余地はない。
 調教の動きも素晴らしく、馬体も良い。
 阪神の適正もあり、距離適正も問題はないレベル。道悪についても血統的に元々ダート路線も考えられていた馬であるし、洋芝の札幌記念をかち切っているので問題はないだろう。不利を受けたり、極端にかかったりしない限りは馬券外に飛ぶことは考えにくい。


5 エイシンヒテン
 前走ローズSは確かに前半スローで流れたので展開向いたといえばそうだが、直線入ったところで外に膨れたりしながら、後続に飲み込まれそうになってからアンドヴァラナウトについていってもうひと伸びしたのは少し驚きの強い内容。
 テンのスピードは随一なので今回もクールキャットがかかってハナに飛び出さない限りはハナでペースを握るだろう。前走のような走りができるなら侮れない一頭。
 どちらかと言うと高速馬場のが向くので雨で馬場が渋るのはプラスではない。


6 スライリー
 ここ二走大敗を続けているが、二走前のオークスはスタート直後接触で先行できず、前走紫苑Sは内を通ったシャーレイポピー以外は先行馬全滅の展開ということで度外視できる。
 三走前のフローラSや五走前の菜の花賞では先行して直線粘り強い末脚を見せた。スピードの持続力が問われるこのレース質と適正面ではフィットしそう。
 内隣のエイシンヒテンがハナに出てクールキャット、ソダシの外でスムーズに番手の位置を取れたら一発あってもおかしくは無い。


7 サルファーコスモス
 デビュー後4戦して[2-1-1]と馬券内率100%の安定感て阪神コースの勝利実績もある。
 ただデビュー戦は1400mで後は全て1600m。今回は2F延長の2000mという距離、前走古馬混合クラスで2着は評価できなくも無いが勝ちきれなかったのも事実。世代トップが集まるG1で距離延長で初2000となれば好走のハードルは相当高い。


8 エンスージアズム
 G3までは善戦出来たが、この三戦G1G2の世代トップレベルとのレースでは8着→18着→7着と歯が立たない状況。
 展開的にも後ろからになり、ここは静観。


9 アンドヴァラナウト
 ここまで[3-3-0-0]と連対率100%の安定感。距離2000mで2勝、阪神急坂コースも[1-2-0-0]と実績通り実力は上位と見える。
 前走G2 ローズSは好位置でレースを運び直線抜け出し上がり最速で完勝。文句のない競馬だった。下した相手は今回秋華賞出走の
3 クールキャット
5 エイシンヒテン
8 エンスージアズム
10 アールドヴィーヴル
の4頭。
 ただし、レースの中で不利を受けたり、バイアス不利の中勝ち切ったというようなものではなかったのでそういった意味では、まだ未対戦の強力馬相手にどこまで力が通用するかというところ。
 ただ前走ファインルージュにも乗った福永Jがこちらを選んだという点含めるとある程度重い印は必要か。


10 アールドヴィーヴル
 前走ローズSはこの秋華賞出走権を獲るためのレースということでなんとか3着に食い込む健闘をみせた。ただそれもあって前走はそれなりに勝負仕上げだったと思われる。このレースへの上積みはそこまで無いだろう。
 テンのスピードが遅く前にいけないこともあり、後方からの末脚勝負が唯一の戦法なので、このレースの展開からはそこまで推せない。
 万が一外差し展開にでもなればユーバーレーベン、アナザーリリックと共に飛んでくる可能性はある。


11 ユーバーレーベン
 前走オークスは展開的にも適性的にもハマった感あり、直線抜け出して優勝。その前走に比べると稍適正面では落ちるかというところ。
 ただ、レース質的に前有利とはいえこの馬は道中まくっていく機動力も無いわけではなく、そこそこのポジションからなら直線の脚は持っているので何らかの印は必要。
 一番の懸念点はケガからの休み明け一発目という点。
 今のところ抑えまで。


12 アカイトリノムスメ
 前走オークスではやや展開の負荷を受けつつ直線詰まり気味ながら良い伸びで二着。これで東京は[3-1-0-0]と明らかな東京巧者。
 コーナー4つの小回り阪神内回りコースは初めて(桜花賞はコーナー2つの外回り)となりその点が稍不安を残すが、他にも同条件で初コースの馬は多い。
 ただこの馬は、追ってから稍ズブい面をみせたりするのもその要因の一つかもしれないが、間隔を空けてリフレッシュ後一発本番よりは、叩いて次状態を上げるタイプに見える(これは母アパパネに通じた特徴)。今回オークスから約5ヶ月ぶりの実戦、調教ではとても良い動きをしているが精神面でどこまでしっかりと作られているかがポイントとなりそう。
 ちなみに馬体は今回良い仕上がり。後肢長めのスッキリした胴回りでパワーよりはスピード質の馬体。マイラー体型の母アパパネと違って中距離馬体に見える。


13 ホウオウイクセル
 スピードよりもスタミナタイプ。
 二走前桜花賞はそのスピード性能が足らない中で外回して9着、前走紫苑S大出遅れで13着と度外視して良い。
 今回チャンスがあるとすれば直前雨が降るなどして重もしくは不良馬場になった時くらい。


14 ファインルージュ
 中距離よりはマイル質の脚質とみていたため正直前走紫苑Sは距離が長く厳しいだろうと思っていたが、蓋を開ければ不利な外を回しての完勝とかなり強い競馬。
 ただこのレース後半ラップを見ると11秒台が連続しており基礎スピードの高さが求められたレースでもあった。つまり1400〜1600が適正距離のこの馬の基礎スピードが足りたレースとも言える。
 とはいえ、バイアスを無視した外回しのレース内容はかなり強かったし、秋華賞も同じように後半速いラップを刻むレースになりやすいので適正面含めて重い印はうたざるをえない。
 懸念点としては雨。重馬場になって負荷が増し求められる距離適性が伸びてくるとマイル質のスピードだけではこなせない可能性もある。


15 アナザーリリック
 リステッド勝ちで臨んだ二走前G1 NHKマイルカップは0.8秒差の7着だったが、直線伸びず下がるかと思ったそこからまずまずの伸び。
 前走佐渡Sは古馬混合だったが上がり最速の末脚で完勝。2着馬ゴルトベルクは次走レインボーSで1着。3着馬のモズナガレボシも小倉記念を格上挑戦ながら1着とメンバーレベルは決して低くなかった。
 3歳で夏の中距離3勝クラスを制した馬はグローリーヴェイズなどのちの出世馬多数おり、価値ある勝利。
 中山菜の花賞で小回り急坂2着、アネモネSでは重馬場で勝利と急坂道悪実績があるのもプラス。
 佐渡S52キロから3キロの斤量増はどうかというところだが、大外枠に入り直線邪魔されずに末脚発揮できる点は一発を秘めた魅力でもある。


16 ミスフィガロ
 とにかく後方から末脚勝負の一手。どちらかと言うと高速馬場が得意で渋った馬場なら割引。
 さらには大外枠に入り、ラスト4F大外回しての競馬になるのが予想されることから、良い脚使っても届かないイメージが払拭できない。

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