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[カヌレクエスト]その5 あの網のむこう。

さて、バカうまく型に蝋がひけるようになったのでうっとりしている場合ではなく、さっさと焼くべしカヌレ。

そして、さっさと焼いて、さっさと失敗をしたカヌレ。うむ。立派に型から飛び出したのう……。オーブンの扉の網の向こうに生地が見える……。型に生地は8分目までしか入れていないので、横から飛び出したのがみえた瞬間、失敗とわかる。

生地は型の8分目までしかはいってないのだから、型からみえたらもうアウト。

今回は失敗カヌレを焼きながら、ごまかす方法はないのかとせり上がる生地を目にやきつけながら考えた。

盛大に出ている

ひとつには、フタをして重りを上にのっけておけばいいのではないかと思った。フタは底がぬけるケーキ型があるので、それを使おう。重りは、本当はタルトのガワを焼くときに生地が膨らまないようにする重りがあるのでそういうのを使いたいが、この間の引っ越しのときに捨てたことを思い出して奥歯を噛みしめる。だいたい、捨ててまもなく必要な局面は出てくる。仕方がないので耐熱の重い器かなんかにすればいいだろう。


もう一つは、飛び出した生地を手で押し込んで、型の底に密着させる、ではなかろうかと思った。

これからでもまにあうのでは? とも思ったのだが、ときすでに遅く、せり上がった生地にすべてのやる気を失ったため、次回の失敗にとっておくことにした。ああ、ほんとに! 次も失敗する前提なのがくやしいな!

焼き上がったカヌレは、見事に頭白短カヌレが焼けた。そこで思いついたよ。これをオーブンでもう一回、だいぶ焼いてやればカヌレじゃね? いや、カヌレじゃねえよ、それはもう。でも、まあカヌレの生地は焼けてるほうがうまいので、とりあえず焼いてみたら悪くなかった。頭白短カヌレをそのまま食べるよりはおいしい。

お見事!

とりあえず、失敗を回避できるかもしれない方法を2つ。失敗した場合によりおいしく食べる方法を1つ考えついた。今回はこれでよしとしておこう。

型からだして焼いているところ。それはもうカヌレではない。

しかし、成功体験がほしくなってきたので、万に一つの失敗もしない、なかしましほさんのレシピのチーズケーキを焼いて、友人にふるまってなにかの溜飲を下げた。