神様

#創作大賞2024
#ミステリー小説部門

第六話

あきとの死体が見つかった。

えっと、、中野さんは なきがらって言ってたんだったかな、違う、わかった、ご遺体が発見されたと、そう言っていたんだ。
水死体で見つかったそうだ。
海で亡くなり、流されて、浜辺近くで浮いていたらしい。
水死体は顔などの判別は難しいらしく、ホテルの防犯カメラに映っていた服装などで判明し、DNA検査で確認されたそうだ。

あきとのご両親はフィリピンへ行き、すぐに火葬したそうだ。
遺体の損傷がはげしく、火葬を待ってもらえるか、時間的にぎりぎりだったそうだ。
遺体は簡易の棺に入っていたけれど、とめられて、対面する事はなかったらしい。
とても冷たい棺だったそうだ。


美紗緒が正門の横に立って手を振っている。
私も手を振り返す。
「ひさしぶり。なかなか会えへんから、そろそろ講義終わっって出てくる時間やと思って待っててん。」
「待っててくれたの?ありがとう。もしかしてLINEくれてた?」
「ううん、LINEしてない。なんて書いたらいいか、分からんくなちゃってん。」
「あ。。そうか そうだよね、あの、、」
「いや、あの、何から言っていいか分からへんけど、えっとお葬式とか、あったのかな。香里なら知ってるかなって。」
「お葬式は家族葬らしくて、って私も刑事さんから聞いただけで、あきとのご両親とは結局しゃべったこともないままで。お線香を、友達としては、あげに行きたいとも思うんだけど、、」
「確かに、行きにくい。」
そう、半グレというのがどういうものなのか、未知の世界であり、昔の完全プラックな世界観の映画とは、ビジュアル的にも違うだろうと思いつつ、足を踏み入れることはしにくい。
「まあ また、お墓とか分かったら、墓参り行かへん?」
さすが美紗緒。お墓ね。
でもお墓っていう響き、あきとがお墓って似合わない。

あれから考えてみたけど、分からない。
あきとが自殺する原因なんて、分からない。
友達、勉強、うーん、悩み事?容姿にも恵まれていたし、お金にも困っているように見えなかったし、一番死ななくていい人が死んだかのように思う。
でもそれは、まわりからは分からない事なんだろう。
幸せそうに見える人が自殺するなんでごまんとある。ましてや親が半グレって。
グレるって親じゃなくて普通子供だろって。
ごまん? ごまんて、五万から来てるんだろうか。じゃあ一億分の五万の確率ってことだろうか。
あきとは、一億分の五万の確率でなくなってしまったんだろうか。
いやごめん確率じゃない。
あきとは何で死んだんだろう。どうやったら分かるんだろう。
友達に、聞いて調査してみる?
でも、私が一番仲のいい友達だ。

自分で言うのも何だけど。

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