神様

#創作大賞2024
#ミステリー小説部門

第十六話

「おはようございます。」
「お、おはようございます。吉井さん、あの、、」
「佐谷さんの昨晩の記憶は消して、書き換えてあります。」
「書き換えて、って、あ、そうなんだって、ならないんですけど。」
「とりあえずお知らせしておいた方がいいかと思いまして。」
「あの、、えーっと。」
だめだ。聞きたいことがありすぎて逆にない。
「とりあえずちょっと、外に出て、あのもう今日大学の講義休むんで、えーとマックにでも。マクドナルド。あ、警察の人がマクドナルドでとかダメか。」
「え?」
「いや色んな意味でダメかなって制約とか、なんか。」
「警察官もマクドナルド食べますけど、それより私は警察にはもういないんです。」
「えっ退職されたんですか? あ!まさか、きのうの事が何か関係ありますか、規律違反で?」
「うーんと、ですね、何というか、元々いなかった?的なやつです。」
はい?
「あっと、えっっとーーー。」私は携帯を取り出して電話をかけた。
午前中は電話に出てくれやすい。
「もしもし、中野さんですか。今中です。あの、つかぬことをお伺いしますが、以前、私の担当に、中野さんとついて下さっていた、吉井さんいらっしゃいますか。」
「おはようございます。えっと、吉井?ですか。吉岡ですね。あ、いますよ。でも今、席外してますね。何かご用でしたか。」
「あの、吉井さんですよね。50代か60代かちょっと分からないですけど、、」
「そうですね50代でしょうかね、私も年齢は聞いてないんですが、前に五十肩で、ロングヘアーを束ねる時痛いと言ってましたんで。」
「女性、、」
「今中さん?あの、大丈夫ですか、何か、、」
「あ、あの、あの、、大丈夫です。ちょっと考え事が多くて混乱していて。そうですね。吉岡さんでしたね。お忙しいのにすみませんでした。」
「何か御用ではなかったですか、大丈夫ですか。」
「はい、また、あの、ではまた、失礼します。」
がーん。
いなかったことになってる。
どういうことだーーーー。

あー。
もう、あれだ。神様なんでしょ。
私は自分の顔を手でおおって、目をおさえた。
うーん。と。
顔を上げる。
「吉井さん、とりあえずマクドナルドに向かってもらっていいですか。」
一緒に歩き出す。

「吉井さん、あきとのことなんですけど。」





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