神様

#創作大賞2024
#ミステリー小説部門

第九話

食べないまま冷めてしまったチーズバーガーとフライドポテトを眺め、私はつぶやいた。
「え、ということは、、」
「うん。誰も為替やら株やら、私もよう知らんけど、そんな資料見てない感じやったもん。名簿と携帯と、なんかメモ書いたりしてたけど。」
「それって。」
「詐欺やんな。」
返す言葉がない。
「私と入れ違いの感じですぐ二人は帰ったけど、あそこ、詐欺の事務所だと思う。」
「で、その後、その仙崎さんに聞いたの?」
「詐欺やってるんですかって?それは。それは聞かれへんよ。いつもの私やったら聞いてると思うで。でも私のミスで、80万円の支払いの件で呼び出されてるのに。」
「うん。で、何で私に来て欲しいって電話することになったかだよね。」
「そう、私な、80万円は支払われへんていう話をして。でももう、うちら18歳以上やから成人やん?契約成立してるわけで、親も関係ない。で、警察に相談するって言ったら、いきなり人が変わったみたいに怒りだしてん。」
「え、でも関係ない、怒ったって別に。警察行くのがいいと思う、それかまず消費生活センターみたいなとこに電話するとか、いや消費とかじゃないか。」
「うん。私もそう思って話切り上げようとしたら、警察に行って、それでめでたしめでたしって解決しても、その後身辺に気をつけないといけなくなるって、なんか、おどし?かけてきてん。」
「まじか、、」
「極めつけが、佐山組が後ろ盾についてるって。なんかもう夢見てるんかと思ったわ。」
「うん。夢かな。」私はそう答えるのが精一杯で、コーラのカップを手に取って飲み始めた。
「もちろんこっちは携帯で全部録音はしてるよ、でもこの録音で何ができる?これで相手脅せる?警察動く?そう思ったら。」
「うん。」コーラの味がしない。
「こっちも半グレの後ろ盾ありますからって。言ってしまってん。」
「あ、、」
「そう、で、誰やねんてなって、佐藤秋斗の親御さんと知り合いで、私の親友も、佐藤秋斗と親友でって止まらなくなって、そしたらなんか呼べって言われて。」
フライドポテトを食べる。
しなびてしまったけれど、ポテトはいつも美味しい。こんな時にも美味しいなんて何なんだ。
「なるほど。」
「で、ごめん。」美紗緒は深々と頭を下げる。
「これから私どうしたらいいんやろう。」
「うん。」
「どうなると思う?」
聞かれても。

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