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〜家庭医がみる〜 1.プライマリ・ケア 

「家庭医です。なんでも診ます。」
とは言ったものの、本当に何が診れるのか、どう診るのか、どんなことをしてるのかについて、シリーズにして書いていきます。

プライマリケアを専門にしていると、診る疾患は多数に分かれます。
一方、診れるのだけれど、ここを専門家の方にお任せした方が良いという場合もある。

そのあたりを知ってもらうのに
『〜家庭医がみる〜』とシリーズ化して少しずつ書いて行こうと思います。


〜家庭医がみる〜 #1 プライマリケア

先生は何が専門なの?と言われます。
専門が何かと言われると家庭医療という話になりますが、日本ではあまり知られていません。海外では「Home doctor(ホームドクター)」日本では「かかりつけ医」が担当するプライマリケアと言われる領域が専門です。

家庭医の専門領域「プライマリケア」

プライマリケアは以下のように米国国立科学アカデミーが定義しています。

Primary care(プライマリケア)とは患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される総合性と受診しやすさを特徴とするヘルスケアサービスである。

National Academy of Sciences,NAS 1996

簡単にいうとホームドクターとして家族の健康問題も、地域に潜在的にある健康に関わりそうな問題などの予防も含めて広い視野で対応していく医師ということです。
より詳しく知りたいという方はプライマリケアとは僕が所属する日本プライマリケア連合学会に説明が詳しく書いてあります。HPを見てみてください。

プライマリ・ケアを理解するために重要な
家庭医・総合診療の根幹『ACCCA』

今回はプライマリ・ケアの概念で、プライマリケアのACCCAといわれる、家庭医が行うケアの根幹として大事にしている概念の話を簡単にしようと思います。
それぞれ詳しく話すと長くなるので後日続きを書きます。
当院も十分にできているとは言い難いので、これらの機能を持てるような医療機関を目指して少しずつ体制を整えていきます。

Accessibility(近接性)

近接性とは言葉の意味としては近づきやすさを示す概念を表します。
プリマリ・ケアではかかりつけ医がいる医療機関が、患者さんに対して医療を受けるための地理的・経済的・時間的・心理的な障壁を克服するために支援する必要性を指します。
地理的:通いやすさ
経済的:高額な医療や治療が行われない
時間的:いつでも相談しやすい、突然の症状に対しても相談しやすい
心理的:こんなこと相談していいかなと思わず、とりあえず行ってみようと気軽に受診できる。

Comprehensiveness (包括性)

予防から治療・リハビリまでカバーする
全人的医療
Common disease(日常起こる健康トラブル)を中心とした全科診療
年齢に関係なく小児から高齢者まで

Coordination(協調性)

専門医との連携
チーム・メンバーとの協調
住民との協調
社会的医療資源の活用

Continuity(継続性)

ゆりかごから墓場までずっと同じ医療機関で診てもらえる。
病気の時も健康な時も時間があいてもいつも同じ医療機関で相談できる。
病気で他院に入院・通院してもかかりつけ医として病状を把握してくれている

Accountability(責任性)

患者さんへの十分な説明と意思疎通を取ること(対話ができること)
自分の医療が適切か、医療の質の維持と見直し
常に学び続けること

以上がプライマリ・ケアを担う医療者の根幹ACCCAの概要でした。
続きはまた今度。

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