在野の研究者が、一応修士課程の間に独学したサイバー安全保障について、生意気に書き連ねる。
個人のハッキングと異なり、国家主導のサイバー作戦においては、綿密な計画の下で行動が行われる。そこでは、組織として人材の専門分化がなされている。 脆弱性アナリスト 脆弱性の発見を担当する。「バグハンター」の呼称でも知られる。 開発者 マルウェアの開発や、エクスプロイト、ツール等の構築を行う オペレーター システムやネットワークにアクセスし、開発されたマルウェアの展開と保守を担当する システム管理者 コンピュータとサーバーの信頼ある維持管理、構成、運用を保証する テスタ
情報は、あらゆる行動を行う上で基礎となるものである。サイバー作戦に於いて利用される情報は広範である。その対象は、デジタル上のものから、物理的なものまで含まれる。 取得される情報対象のネットワーク等に関する情報 ドメイン IPアドレス 管理データ 連絡先に関する情報 信頼し、接続しているセカンド・サードパーティの組織やドメイン ネットワークトポロジー 機器同士がどのように接続されているか ファイアウォールやフィルタ、侵入検知システムなどのセキュリティ機器 ハードウェア
サイバー空間・サイバー領域は、既存の物理的な領域とは異なる性質を有している。以下では、その性質や特徴について挙げていく。 サイバー空間での戦闘は目に見えない基本デジタル空間上で完結 行動に対する結果がわかりづらい →そのシステムは、この攻撃で本当に停止した?(見た目は無傷) もし敵対空ミサイルを停止できていなければ、自空軍の行動に支障 物理的な攻撃では目に見える →通常戦争開始後はサイバー攻撃より物理攻撃が重視される?(ウクライナに於けるロシアの爆撃など) サイバ
「攻勢的サイバー空間作戦(offensive cyberspace operations;OCO)」と、所謂「サイバー攻撃」とは異なる。一言で言えば、サイバー攻撃は、攻勢的サイバー空間作戦の中の行動の一つである。 攻勢的サイバー空間作戦: 国家がサイバー空間を利用して戦力を投射し、何らかの目標の達成(乃至その支援)を企図する一連の作戦 ただし、研究者や各国のサイバー部隊に於いて統一した定義や解釈があるわけではない 一連の作戦:米国防総省「サイバー脅威フレームワーク(
昭和維新とその周辺(国学、戦後新右翼など)について、研究ノートやら雑記やらを不定期で更新予定。
血盟団事件とは、井上日召こと井上昭が中心となって起こした暗殺事件であり、五一五事件の契機となったものである。ここでは、事件に至る背景と概要についてまとめる。 井上日召開業医の三男 東洋協会専門学校を二学年で中退後、明治四十三年渡満 陸軍諜報機関となり、翌年発生した支那革命及び、後に青島戦争などに参加 滞在中、木島完介、本間憲一朗(五一五関係者)、前田虎雄(神兵隊関係者)の盟友得る 大正九年末頃帰国、日本の現状を知る 「社会主義者の増加、極左翼の横逆、労働大衆の赤傾、指導階
日本主義に基づく革新運動―いわゆる昭和維新の機運から、陸軍は諸事件を引き起こした。部内での対立関係から「皇道派」が形成され、やがて血盟団事件、五一五事件、二二六事件といった諸事件へと繋がっていく。 背景長州閥への不満 大正末年~国家改造叫ばれ、各部門に革新的機運が自ら生じた →陸軍部内にも波及、因襲慣行の革新が第一目標 人事其の他に支配的力を有していた長州閥に革新機運向けられる 長官が閥外出身でも、人事網・諜報網利用し、長州閥の部下統制不可能に 田中義一政界進出後
「日本主義」とは、おおよそ、思想や制度、方針その他諸般において、日本の独自性を重視するものである。 ただし、「日本主義」は、特定個人の思想ではなく、日本民族の歴史とともに発展したものである。そのため、これを説くものの個性により、「日本主義」の内容は多少異なる。 よって、以下では、「日本主義」発展の経過を追いながら、複数の人物・団体の立場や思考について概観する。 「日本主義」の萌芽維新後、「欧化熱」流行(詳細下記記事) 明治十一、藤井惟勉の祖先崇拝論の高唱 十二、田中知邦の
昭和初期、所謂「昭和維新(当時は革新運動とも謂った)」に関わる諸事件―血盟団、五・一五、二・二六等が相次いで起こった。 そこに至る背景・原因は、大きく分けて3つである。第一に、外来思想・文化の流入、第二に、政権の失策と腐敗・堕落及び国家の行詰りと衰退、第三に、皇室の危機である。 この3つが政権の打倒と国家の革新に人々を向かわせたのは、昭和初期が初めてのことではない。惟れば、明治維新の前にもこの3要素は顕在化していた。そして現在の日本社会にも同様の傾向がある。 ※なお、以下