Pink Floydと「One of these days」

一番好きなアーティストは何、と聴かれるとピンク・フロイドとスクエアプッシャーと答えている。
実際その2アーティストが飛び抜けて好きというわけではない。他にも好きな音は山のようにある。Norah Jonesでもいいし、Teenage Fanclubでもいいし、ToolでもBlurでもProdigyでも本当はいい。
でも、好きなアーティストがピンク・フロイドとスクエアプッシャーって答えるようなやつっていうのは例えばビートルズだとかツェッペリンだとか、アンダーワールドだとかレディオヘッドだとかなんだかんだとかも勿論知ってるんだろうな、というのが伝わるんじゃないかと思う。要は手間が省ける。
勿論、ピンク・フロイドもスクエアプッシャーも大好きでよく聴く。
ピンク・フロイドというとまあ大体の人は狂気かウォールか炎か、八割方その三枚が最高傑作という人が多いと思う。まあ実際おれもピンク・フロイドのナンバーワンアルバムは、と聴かれたら炎、って答えると思う。
でも一番心に残っている曲は「One of these days」である。収録アルバムはMeddle。One of these daysの他には大作「Echoes」も入っている佳作アルバム。ニック・メイスンはEchoesでピンク・フロイドが始まったと言っている。それくらい、重要なアルバムである。
なんでこの曲が心に残っているかというと、これは完全に個人的な経験に基づく。

今からおよそ10年か15年か、それくらい前の話。
おれは友人に誘われて、お台場にあるフジテレビ社屋のそばで行われるイベントに、焼きホタテ屋さんとして出店していた。
季節は夏で、灼熱の天気の中、朝から何百枚というホタテを焼いて売って汗だくになったおれはイベントの後に人気のないところでタバコをふかしていた。
すると、聞き覚えのあるベースが聴こえる。まだ「One of these days」をじっくりと聴いていなかったおれは、これなんだっけ、と音に耳を澄ましていた。そうだ、ピンク・フロイドだ。
どうやらフジテレビ社屋を使って、音と連動したイルミネーションを演出しているようだった。
不穏なベースが弾け、バンドサウンドが炸裂する瞬間、見事な光がフジテレビ社屋から発せられる。
へー、きれいだなあ、と思ったおれは改めて「One of these days」をじっくりと聴き、この曲を選曲した担当者のセンスに感動したのである。

というのが、ピンク・フロイドで「One of these days」を選んだ理由。
勿論、「Wish you were here」も、「Breathe」も、「Another brick in the wall」も、何なら「Learning to fly」も好き。
でも、あの光と「One of these days」は多分、一生忘れないと思う。


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