No Doubtと「Running」

高校生の頃、グリーン・デイもランシドもNOFXも好きだったけど、ノーダウトはそんなに聴かなかった。
パンクの女性ボーカルっていうのがあんまり受け付けなかった。
まあ、ガキだったのでもっと激しくて速いやつが好きだったっていうのもある。
ノーダウトはそこまで速い曲はないので、名前はまあ知ってるけどそんなに聴かない、という感じだった。

ちょっとだけ大人になって、レゲエやダンスホールっていうところもちょっとずつわかるようになったら、ノーダウトのHella GoodやHey Babyみたいなダンスホールがカッコいい!と思えるようになった。
トラックもすごく良く出来てるんだよね。バンドっていう形を壊さず、それでいて打ち込みやシンセサイザーをうまく取り入れてる。

Runningにハマったのはパンクやハードコアといった音楽を昔ほど聴かなくなってから。
Youtubeを見ていると、RunningのMVがあった。
ノーダウトかあ、懐かしいな、と見てみたら、パンクでも、スカでも、レゲエでもダンスホールでもない、ノーダウト流のバラードだった。
Running。バンド活動は走ることでもあるのかもしれない。
無邪気な電子音と、爽やかなアコースティックギターがグウェン・ステファニーの情感たっぷりの歌声を彩る。
バンド活動と共に駆け抜けた青春。ノーダウトはビッグなバンドになった。
ちょっと、走るのを止めて休もうか。そういう曲なんだと思う。
バンドメンバーの若い頃の写真や映像がフラッシュバックする。
まだ垢抜けないグウェン・ステファニーは、ゴージャスな歌姫へと成長した。
何かを得て、何かを失う。悲しいことや辛いことはあったけど、それよりも楽しいことや嬉しいことがたくさんあった。
ノーダウトは、Rock Steadyという傑作の後、10年以上も作品をリリースしなかった。
Rock Steadyが最高のアルバムで、これ以上は作れない、というのもあったと思う。
バンドは、このRunningで、一旦ピリオドを打ったんだと思う。
走り抜けた10年間でバンドを取り巻く状況はガラッと変わった。
一旦止まって、周りを見てみる。メンバーにも人生がある。家庭がある。
グウェン・ステファニーはソロ活動を始めた。自分という存在を賭けた勝負。
Runningは、ノーダウトがノーダウトとして続いていくための、「ちょっとした休憩」のきっかけになった曲なんじゃないだろうか。

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