SGW杯7枠

皆様こんばんは。
本日は第6回SGW杯中庸戦7枠の3局をご紹介します。
なお、棋譜については幽玄の間の過去棋譜からご覧頂けます。

1図(実戦)

1回戦、三谷哲也八段(黒)と大垣雄作九段の対局です。
大垣九段はいわゆる本格派と言われる棋風でしょうか。
白1~5とまず自身を強化して、それから白7と仕掛けた手順にもそれが表れていると思います。
準備せずにいきなり白7と打つプロも少なくないでしょう。

2図(実戦)

白4まで黒を閉じ込める狙いですが、その代わり黒5の反撃を覚悟しなければいけません。
こうなったとき、白×があれば左側の白が苦労しないというわけですね。

3図(実戦)

白△と切ったのが決断の一手!
と言うのは・・・。

4図(実戦)

黒1~9の手筋で、白地だった下辺が黒地になってしまうからです。
しかし、それを承知のうえで、白10と打って中央黒に襲いかかる作戦でした。
攻めではなく本気の取りかけです。


5図(実戦)

黒も1~5と切って反撃しました。
左上白大石にも眼が無く、攻め合いの形です。
ただ白8に石がきたので、まずは左上黒を守る必要がありますが・・・。

6図(実戦)

黒3と抜きましたが、白4に対して黒Aと生きるのでは大石同士の攻め合いが不安です。
そこで受けずに変化しましたが、最終的には中央黒が生きた代わりに、白が左上黒を取ることになりました。
結果は白中押し勝ちでした。

7図(参考図)

変化として考えられたのは、1目を抜くのではなく黒1と下がって生きる手です。
これだと前図に比べて白大石の手数が縮まるので、あるいは結果に違いが出たかもしれませんね。



8図(実戦)

準決勝、大垣九段(黒)と河合将史六段の対局です。
黒1と打って白2の逃げ出しを催促し、黒3と打って攻めの態勢を築きました。
さらに黒5にも回り、右上白にも圧力をかけていきました。
絡み攻めまで視野に入れた打ち方です。

9図(実戦)

黒1ではAと打つプロが多数派だと思います。
しかし、右辺黒の薄みを放置しておくことを嫌ったのでしょう。
白2を許しても、後から黒3と打ってまだイジメを狙えるとみています。
先を急がない打ち方ですね。

10図(実戦)

黒1~5で、まず黒×を強化しました。
それから黒7と、満を持して右辺白に攻めかかりました。
ここも堅実な手順ですね。


11図(実戦)

黒5まで、右辺白がかなり危険な状態になりました。
黒の攻めが決まった形ですね。
結果は右辺白は凌げたものの、黒が大きなポイントを上げて中押し勝ちとなりました。



12図(実戦)

決勝、大垣九段(黒)と井口豊秀八段の対局です。
白△と滑られ、右辺黒の構えが薄くなっています。
ただ守るのではなく、右下白に先制攻撃を仕掛けたいところですが、黒AとBの2通りが考えられます。


2図(参考図)

よくある打ち方は黒1で、こちらが多数派でしょう。
黒7まで白の眼を奪うことができます。
ただ、右辺黒の構えが薄くなるという欠点もあり、大垣九段はそれを重く見る棋風なのでしょう。


3図(実戦)

実戦は黒1でした。
白8まで隅での生きを許しますが、その代わり右辺黒に負担がかからないというわけですね。

4図(実戦)

黒1は右辺を補強しながら黒Aの切りを狙う手、黒5~9は左辺に展開しながら左上白大石を狙っています。
地を広げたり固めることと攻めを連動させる打ち回しです。


5図(実戦)

白1と黒の模様を消しにきましたが、黒2と攻めました。
この手で右辺を受ける手も無いとはいえませんし、手抜きで他所に行く手もあるでしょう。
ですが、大垣九段としては迷いは無かったでしょう。

6図(実戦)

白1(Aの所)、3の手筋で連絡を図りますが、その間に自然と周囲の黒が固まっていきます。
さらに黒12と追及し、白はまだ安心できません。


7図(実戦)

白3が手筋で、白11まで連絡することができました。
ただ、白にダメを走らせている間に黒Aの抜きや黒Bが残って中央黒が厚くなり、攻めの利益が上がっています。
安心して黒12の大所に回り、黒優勢が明らかになりました。
結果は黒中押し勝ちとなり、大垣九段が本戦進出を決めました。

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