日本人論: 同調圧力と意地悪さについての注意

日本人は同調圧力が高い、あるいは意地悪く経済が低迷しているのもそのせい、という記事に飛びついてしまったが反論記事もあるので自戒も込め、関連記事へのリンクを貼っておく。

日本人は特段同調圧力が高いわけではない

日本人と(個人主義であるはずの)アメリカ人は同調率は同じくらいという実験を紹介。ではなぜ日本人が集団主義的と言われているかというと「菊と刀」などのバイアスに基づいた欧米の日本人論が定着してしまったとする。記事内のリンク先も興味深い。

日本人が意地悪いから日本経済は低迷している?

日本人はアメリカ人や中国人より足を引っ張る行動が多いという実験を紹介。そういうスパイト行動が例えば「新しいものに対する批判」「成功者への妬み」で、日本の消費経済低迷の根本原因とする。
読み直すとスパイト行動 = 「新しいものに対する批判」「妬み」→経済低迷が飛躍していると思った。ただし以下は気になる
> 多くの専門家が、日本が消費経済を拡大できないことにはメンタルな部分が影響しているのではないかと疑っていた。


反論リンク
・星暁雄さんの連続ツイート
 アメリカ人はゲーム理論通りだが、日本人は自分が損してでもフリーライダーを罰するスパイト(いじわる)行動を取り、最終的には効率が向上。ただ特殊な設定だし別論文では差はないとの結果もあるとのこと。
・Sputnikだがこちら
 あまりしっくりこず。

関連リンク
「私が損をしているのだからお前も損をすべき!」
 同じ実験を取り上げた、日本人に絡めての主張だが、その部分を差し引いてもスパイト行動のある環境を避けること、など参考になった。

日本人は全体、アメリカ人は部分に着目する

多様性の科学」より。ものの見方が異なるとのことで、どちらが良いというのでなく合わせれば視点が広がるという趣旨。

感想

「日本人論」と名前をつければその共通認識を前提とすることで毎回1から説明・主張する必要がなくなり楽だが、逆に飛躍した主張、根拠のない主張が増えてデメリットが多いと感じる。一つ一つ科学的根拠を積み重ねていけば新たな「日本人論」もできそうだが、日本人が〜というよりは単に状況に応じて社会の◯◯なところは✗✗して良くしよう、でも十分な気がしてきた。。同調圧力が不要なら減らす、スパイト行動が必要なら活かす、など。

また、日本人論など対応バイアスを頑張ってはねのけて、記事を鵜呑みにせずに反論を探す・客観的に納得できる結論を切り出すのは難しいと思った。各著者の書籍も読みたくなってくる。

用語メモ

・対応バイアス: 置かれた状況を軽視して特性をもとに行動を説明すること
・スパイト行動: いじわる。自分が損してでも他人を罰するための行動

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