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スーベニア

しまほ まほさん

漫画家で小説家。東京都出身で多摩美術大学卒業。両親は写真家の島尾伸三と潮田登久子。祖父母は作家の島尾敏雄と島尾ミホ。『女子高生ゴリコ』でデビュー。

本書は、主人公であるシオが三人の男性との関係に揺れ動くリアルかつ掴み所のない恋愛小説である。主人公が想いを寄せる41歳のカメラマンの文雄。学生時代の同級生で妻子持ちの点ちゃん。デリカシーが無く酷い別れ方をした元カレの角田。主人公のはっきりしない性格と素直な心情が読む人に共感ともどかしさを与える。男女ともに分かる部分や異性では理解し難い行動に考えさせられることも多い。現実でも起こった2011年3月11日の地震や本物の芸能人の描写がより小説に現実感を加える。今好きな人や曖昧な関係を続けている人がいる方には是非、読んでみることをおススメ。

ここからは私の感想。

スーベニア。英語で書くと「souvenir」。日本語に訳すと「お土産」と訳されることも多いが、英語での語彙説明を読むと「場所や人、イベントを残すもの」。まさに本の題名に合っていると感じた。主人公の過去の出来事や行いが未来の自分へと返ってくる。良くも悪くも「souvenir」であるのかもしれない。男女関係に関わらず、今の自分は過去の自分の行動や思考の蓄積。地震のような自身の力ではどうしようもない外的要因もあるけれども、人生の大半は内的要因が占める。原因の在処を外に目を向けるのではなく、内に向け続ければ「souvenir」も良いものになってくる。日々の努力を続けよう。

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