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民泊ビジネス

著者:牧野 知弘さん

オラガHSC株式会社代表取締役。ホテルや不動産のアドバイザリー、市場調査や講演活動も行う。アメリカ生まれで、東京大学経済学部卒業。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産で勤務。J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。50歳の時に独立。著書も多数執筆。

本書は2016年に出版され、当時訪日外国人の数は2,000万人越え、2020年の訪日外国人目標は4,000万人であった。当時、インバウンド需要は花盛りで、民泊も駆け出しの頃である。ホテル業界に精通する著者の知見を基に、今後の民泊ビジネスの現状や可能性、国内経済への波及効果を解き明かした一冊。当時の予想とコロナショックによって大打撃を受けた業界の現実を見ると本当に必要なものが見えてくるかもしれない。

ここからは、私の感想。

本書執筆時はコロナショックが全く考慮されていない為、インバウンドは望めないにせよ、参考になる所はあるかの検証。結論を言えば、疫病やテロなどホテル業界のリスクにも言及があり、よく考察されたものであった。農作物の飛行機での貨物輸送、日本のビジネスホテルのビジネスモデルの輸出など、将来的に可能性があると感じるものもあった。中規模の新興企業で大胆な店舗展開をしていた企業(ファーストキャビンやWBF)は悔しくも潰れてしまったが、こればかりは仕方ない。老舗でもコロナの影響で潰れてしまった旅館などもあるが、今後も資金繰りの出来ない所が潰れる流れは続く。本書の後半で民泊は地方にチャンスがあるとの記載があるが、積極的に地方に展開するホテルは少ないと考えられる為、地方では活用され、地域の活性化に一役を買う可能性はある。あくまでも長期的な目線での話であるが。都心部では資金力のあるホテルの淘汰が進み、ホテル不足は落ち着くだろう。そして、インバウンド需要が無くなった今、減るものはあるが、海外旅行へ流れる予定のお金が国内へ回るので、内向きに回帰した対策が急務である。

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