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推し、燃ゆ

宇佐美 りんさん

1999年静岡県生まれの小説家。2019年に『かか』で文藝賞を受賞。翌年、同作品で三島由紀夫賞を最年少で受賞。『推し、燃ゆ』で第164回芥川龍之介賞受賞。

本書は今年の芥川賞に選ばれた作品。題名の通り、主人公の「推し」=推している(応援している)人物が、「燃ゆ」=燃える、炎上する(SNSなどのネット上で悪口を言われたり、叩かれたりする)ことを題材にした小説。主人公が抱える不安や迷い、自己犠牲から生まれる自身の存在意義などアイドルに熱を入れている人には共感できる部分が多いのかもしれない。ページ数も少なくて読みやすい為、小1時間もあれば読めてしまう。今まで芥川賞作品を読んだことが無い人は一度、触れてみるのもいいかもしれない。

ここからは私の感想。

かなり読みやすかった。アイドルや異性に入れ込んだことが無い自分としては、主人公の心情に同調できる部分は多くなかったが、対象を豊かにする為に自己犠牲をすることが自身の存在意義や自己肯定に繋がるというのは、誰しもが持つ一面なのかもしれない。比喩や詳細に説明された表現が多く、文字だけなのに自然とイメージが浮かんでくるのは、筆者の表現力の巧さなのだろう。若くして選ばれるには理由があるし、良いものは自然と広がる。日々の努力を続けよう。

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