シン・二ホン -AI × データ時代における日本の再生と人材育成-
著者:安宅 和人さん
慶應義塾大学 環境情報学部教授。ヤフー株式会社CSO(チーフストラテジーオフィサー)でデータサイエンティスト協会理事・スキル定義委員長。東京大学大学院 生物化学専攻にて修士課程修了後、マッキンゼーに入社。4年半の勤務後、イェール大学脳神経科学プログラムに入学し、学位を取得した後、マッキンゼーへ復帰。2008年よりヤフーへ転職し、2012年から現兼務。
本書は、現状の日本を多面的に分析し、今後どのような展望を持って動けば良いかを思案した一冊である。最初に時代の全体観、これから来る未来についての予測、それを踏まえた上で日本の立ち位置を述べる。その後、実績やデータを基に、日本のポテンシャルや今後取るべき戦略、求められるスキルと人材を展開。そして、教育方法に対して具体的な考察と提案の後、国家予算の収支を分析し、リソースの配分について言及。最後の章では、テクノロジーと環境、持続可能な成長についての意見をまとめて終わる。内閣府の会議に出席したり、ヤフーのCSOを務めている為、官民両方の視点から述べられる考察は、かなり具体的で戦力的である。日本に生まれた者として、今後の日本を背負っていく者として、本書を手に取って今一度立ち止まってしっかり考える必要がある。
ここからは私の感想。
官民両方で活躍する筆者であるので、日本の立ち位置をしっかり把握出来ており、課題に対しての考察や提案が鋭いと感じた。国家予算のリソースの再分配に関しては大いに賛成であるが、果たしてその選択肢を善しとする人がどのくらいいるだろうか。今後増えていく高齢者、日本の議員が身銭を払って将来に投資しようと考える人がいるだろうか。社会保障は若者 vs 高齢者の構図が出来てしまっており、数で高齢者が勝ってしまう上、既得権益を打ち壊すのは至難の業である。日本国民全員が、将来成り立たなくなるシステムや教育の強化を真剣に考えなくてはいけない時である。将来の日本の姿に憂慮している人ほど対策を打とうとして学ぶし、本書のような危機感を煽る本を読んで危機感を高めると思う。しかしながら、大半はそうでないと思うし、今の状況にぼんやりとやばいのかなくらいの意識で終わると思う。世界に挑む為に再起するなら、今が最後。諦めるなら、観光業や文化で栄え、外資に頼っていく道を進むしかないのではなかろうか。技術の進歩で、お金を使わなくても生活が出来る水準になっている今、無理して先頭集団に付ける必要はないとも考える。各個人が考えて行動するべきである。私は頑張りたい。日々の努力を続けよう。
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