今年響いた雑誌3冊

去年から再び雑誌が好きになって、買うようになりました。書籍に比べると古本や図書館で入手しづらく、興味の入り口とインデックスになってくれるので買おうという気になるのです。インターネット以前の雑誌になるといよいよ入手しづらくなってきて、しかも好景気時代のものは贅沢な紙面のものが多くある。そんな、人と違うネタに出会える期待を抱かせるのが僕にとっての良い雑誌です。

それで今年の雑誌3冊を紹介してみます。どれも全部は読んでいないのですが、読むとわくわくできて、気分が良くなります。好きな雑誌を読み自分の気持ちを温めてから作業へ向かうという使い方もよくします。


3位 IDEA No.370 : 思想とデザイン

雑誌というには高すぎる(約3000円!)IDEA誌ですが、気になってしまう特集が多く、つい買ってしまいます。この号は題名通り、思想とデザインの歴史を概観してくれて杉浦康平や戸田ツトムを去年知ったばかりの僕にはとてもありがたいガイドでした。彼らが思想とデザインを封じ込めた本から、僕なりに文体派として吸い上げてゲームに持ち込もうと企んでいるのですが……。

それにしてもデザインの人たちの多作ぶり多様ぶりはどのように成立するのでしょうか。そのひとつは、彼らの豊富な入力ソースにありそうです。この雑誌からはそんなデザイナたちの肌感覚が得られます。


2位 『WIRED』VOL.19 特集「ことばの未来」

WIREDはIDEAとうってかわって安すぎる(500円!)雑誌です。何も考えず毎号買っても良い雑誌ではないでしょうか。安すぎるので詩人にあげて、もう1冊買い直しました。人工知能が小説を書きそうな時代にあって、言葉に何ができるのか、僕はどんな言葉をつむいでいけばいいのか、そんなヒントを探しにこの本にやってきました。

中でも円城塔さんは、この雑誌で知ったのですが問題意識を共有できて、近々読んでみたいと思っています。


1位 Spectator vol.33 「クリエイティブ文章術」


僕にとっては迷わず今年一番良かった雑誌。文章指南はもうけっこうと思いつつ、つい手に取ってみたら、味わい深い文章のオンパレードでショックを受けました。ニュージャーナリズムという言葉はこの雑誌で知りました。

特集は多くが過去の記事の再録で成り立っています。タイムラインが闊歩する時代において、過去に遡って言葉を文章をすくいあげたところは、どこか僕の手帳収集プロジェクトにも通じる(かもしれない)。そして、そのおかげで僕が良い文章の数々と握手を果たせた、というわけ。丹精を込めた文章はやっぱり面白いと気づかせてくれました。

本も厚みの割には軽くてページめくりが心地よいし、表紙の手触りもとても気に入っています。


来年の雑誌にも期待しつつ、過去の雑誌を探す旅にも積極的に出たいと思っています。旅の仲間も募集中です。










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