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オンライン座学講座第一回「能の楽しみ方」

白藍乃会《能楽体験プログラム》オンライン座学講座の第一回目が開催されました。

第一回目はアメリカ出身の演劇学者ジョン・オグルビー氏に「能の楽しみ方」についてお話しを伺いました。

能をまだあまりご覧になったことのない方、毎月ご覧になってる方、さまざまな方にご参加いただきました。

ジョンさんにお話しいただいたことを、ごく簡単にまとめてみたいと思います。

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能は演劇か?:No

能において「ストーリー」は、1つのピースでしかない

日本の伝統芸能として能のほかにも歌舞伎・文楽なども知られていますが、
それらはストーリーを伝えることが最大のテーマであるのに対し、
能のストーリーはあくまで能を構成するピースの一つでしかないと思います。

そういった意味で、能は演劇とは言えないと考えます。

能楽=skillを楽しむ

では能では何を楽しむものなのか。

「能楽」は、「能」を「楽しむ」と書きます。

「能」すなわち、「スキル」を楽しむ。

能を見るお客さんの目的は、能のストーリーを知ることではなくて、

演者の(謡・囃子・舞などの)skillを見て楽しんでいるのです。

能はエンターテイメントではない


「蹴鞠」というゲーム?をご存知でしょうか。

蹴鞠は、複数人がボールを蹴って、地面に落とさないようにするというルールです。


能では、舞台上で演者たちがエネルギーボールを蹴鞠のようにやりとりしています。
蹴鞠では「地面に落とさない」「ずっと空中に浮いた状態をキープする」というルールがありますが、能にもやはりルールがあります。


蹴鞠も能も、ルールを理解していない人が見ても、楽しめないと自分は考えます。
また、茶道では「お客」の役割の人がいないと、場が成立しません。
能も同じで、お客にもエネルギーボールのやりとりを感受し、見守るという役割があります。

能の楽しみ方はスポーツと同じ

ルールを知ることが前提条件
前述の通り、能のファンは、ストーリーを見に行くわけではありません。
演者の能力(スキル)を見に行くのです。

スキルを楽しむには、「ルール」を知ることが必要になります。

野球もサッカーも、ルールを知らないとちっとも楽しめないと思います。それと同じです。


歌舞伎や文楽は、お客が事前に何も知らなくても満足できるものです。
そういったのものは「エンターテイメント」と言えます。


それに対し、能はルールを知ることが楽しむための前提条件となります。

能は、お客に対して与えるだけの「ショウ」ではありません。

能のプロモートには「お稽古をする人を増やす」が必須


能の観客を増やすためには、お稽古をする人を増やすことが最も大事だと思います。
お稽古をすると、能のルールがわかります。
ルールがわかると、能を楽しむことができます。

ですから、みなさん、能のお稽古をずっと続けてください。

そして、能楽の稽古をする人をもっともっと増やしていくことが、能のためには大切なことだと思います。

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小一時間お話しいただいたあと、ご参加の皆様との質疑応答の時間では、「どうすれば能を楽しむことができるか」というテーマで話題が進みました。

白藍乃会が今行っている《能楽体験プログラム》が、能楽を楽しむための近道である指摘に、事業の意義を改めて認識できました。

ジョンさん、参加者の皆様、ありがとうございました。

2022/2/26(土)11:00~12:30
<オンライン座学講座>
能って何?ジョン・オグルビー氏(演劇学者)に聴く〜能の楽しみ方〜
<講師>
ジョン•オグルビー
1970年 アメリカ 生まれ。
能楽研究者、パフォーミングアーティスト、演劇学者

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