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心の拠り所①STUDIO COAST

学生の頃、飲み会に3000円ほど徴収されるぐらいならライブに行きたいと思って生きていた。まるでそれが自分に課せられた使命であるかのように。そこで出会った良き音楽というものが、自分が信じられるものの数少ないうちの一つだった。

STUDIO COASTは外に出た瞬間の夜風が気持ちのいいライブハウスだ。今でも心の拠り所として変わらず在り続けている。新木場の駅に降り立つ事があっても、なんとなくコーストの方向に目を向けるぐらいに留めて、無くなったという現実から目を背けている。そんな東京で一番好きだったライブハウスを幾つかの思い出深い写真とともに振り返る。

コーストデビュー日はFOB来日公演だった

晴れて人生初めてのコーストは 駅から辿り着けないのではと思うほどの暴風雪が吹き荒れている夜だった。視界不良で橋を渡るのすら精一杯だったが、会場内は外の雪を溶かしてしまうほどのエネルギーと熱気に満ち溢れていた。大好きな曲(例えば、Tiffany BlewsやAlpha Dogなど)はやらなかったが 迷わず3カ所申し込んで行ってしまうほど大好きなアルバム『Save Rock and Roll』のツアーだった。今でも重い腰を上げたい時などに聴いているが この日から観る機会を逃し続けているので また観られる機会があればと思う。

唯一無二の看板

強運な友人が1番を引き当てて 2番を私にくれた奇跡みたいな日もあった。まだ観客が誰も居ない会場に入る瞬間の感触が忘れられない。この日の集合写真がCROSSFAITHの写真集的なものに掲載され 建物の形こそ無いけれど その写真を見るといつでもあの時間に戻る事ができる。特にCROSSFAITHはコーストが似合うバンドだった。橋を向こうから颯爽と渡ってくるHirokiさんと遭遇したり 思い出深すぎるXENOツアーのラストを飾る公演があったり The Amity Afflictionを好きになるきっかけになっていたりと数々の思い出が次から次へと頭に浮かぶ。

新木場、俺と勝負しようぜ!
最後のコーストはcoldrainで

Masatoさんが言っていたが、コーストはラウドロックのすみかだった。そのような場所が無くなってしまう事は衝撃的な知らせだった。数年ぶりの東京暮らしに震えても、新木場へ向かう道はどこか私を安心させた。最近行ってないからそろそろ行きたいなと思っては、もう予定は無いのだと寂しく思う。この世には確実な次の機会などないのだという事を改めて思い知らされる。無性に行きたくなるたび、写真を見返しては心の拠り所に帰っている。自分の好きだった時間の終わりのない世界がそこにはあって、写真ってそういうものだよなと何度も噛み締めている。

最後に流れていたのはNumb

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