シオコレ×フリーヘルプ(後編)
(この記事は2021年9月8日、シオヤコレクションがクラウドファンディングに挑戦していた際にMOTION GALLERYに投稿した記事を転載しています)
シオヤコレクションが今熱い方々にお話を聞く対談企画第3弾!
【「チャリティーショップ」がよくわかる】シオコレ憧れの大先輩、新長田のチャリティーショップ・フリーヘルプについて「NPO法人フリーヘルプ」代表、西本精五さんにお話をうかがいました!
前回から少し間があきましたが後編です!
(※フリーヘルプは2023年9月に「やさしい職場 フリーヘルプ」と名称新たに板宿に移転、支援先をひきこもりの方々を支援する「オレンジの会」に変更されています。)
シオコレ:新長田のお店の他に、西本さんが今されている尼崎、竜野での取り組みについて教えてください。
西本さん:尼崎は「NPO法人月と風と」が運営する「ふくる」というチャリティーショップと、そこにかかわる団体を応援しています。ふくるは重度障害者の働く場をつくることをメインのコンセプトに2019年オープンされました。
ふくるが店舗を構えている尼崎のコープさんは、ふくるができて違う層のお客さんを呼び込めたことで、なんと売り上げが伸びた。つまりコープのよさを知った人が増えたんです。それで古着事業をやろうという話がコープさん内にも出たのですが、やはり食品と古着が同居することに抵抗のある方もたくさんおられて話は進んでいません。でも、現在ふくるの入っているところを含めて4つのコープさんに古着の回収ボックスを置いていただけていて、徐々に理解していただけてきていると思います。
シオコレ:わあ、かわいい。
西本:これもダンボール会社が協力してくれてできたものです。毎日回収して、月に2トン集まるんです。
シオコレ:2トン!!
西本さん:それをふくるで仕分けして販売するのですが、尼崎の取組みは面白くて、ふくるの在庫を、まちづくりコミュニティスペースさんと、さらに障害者施設3軒が販売して、それぞれの活動に役立てているんです。ふくるにコミュニティスペースの方が週に1回取りにいき、販売する。そこでも売れ残ったものを障害者施設さんが回収、施設のエントランスにちょっこっとラックを並べて少し安く販売する、そこで売れ残ったものを別の障害者施設さんが回収してさらに安く販売する…というシステム。800円、500円、と安くなり最後のところは100円ぐらいになる。服が入ってくる曜日と価格帯がわかっているから、それを楽しみにするお客さんが各お店についています。最後の施設で販売できなかったお洋服はふくるが回収にいきます。
シオコレ:値段がだんだん下がっていくのがまたおもしろいですね!
西本さん:思わぬものが300円で手に入ったりするわけです。そして古着販売の基本として、商品がどんどん入れ替わることが大切です。毎週商品が変わるのは見ていて楽しいし、お客さんも飽きません。普通の住宅街とかなんですけど、よくお客さんがきてくれてるみたいですよ。
シオコレ:めちゃくちゃいいシステム!西本さんが考えられたんですか?
西本さん:もともとフリーヘルプも、店で販売できないお洋服を、すまみらいさんなど2つの事業所さんが販売してきました。それをふくるさんが見学に来て尼崎でやってみたら、もともと福祉のネットワークがあるので、すごいひろがりを見せたんです。
なぜ僕がこんなことを始めたかというと理由があって、日本の障害者施設は助成金や委託事業でしか運営していないところが多く、自分たちで稼ぐという事業所はおそらく100軒に1軒ほどです。続けていけるように収益事業をやってほしいんです。ですからフリーヘルプは事業所さんでの売上を事業所さんに全部渡してしまうのではなく、半分をいただいています。お互いに事業をやっているという認識で進めたいからです。
すまみらいさんはもともと自分たちでバザーをされていたのですが、寄付品が何でもかんでも大量に集まってしまい、貴重なスペースが在庫でいっぱいになって、とても手間がかかるわりに売上は10000円ほどで、うまくいっていなかったんですね。でもフリーヘルプの在庫を使って一定のクオリティと量の品物を定期的に売ることができるようになったことで今、300円均一で月に50000円くらい売れるようになった。利用者さんたちとの値付けなどの作業が効率よくできるようになり、スペースも有効活用できるようになりました。買い物に来られる方が増えてお客さんや地域の方とのコミュニケーションも活発になりますね。「ここは何をしているところなの?」ときかれて施設の説明をしているうちに街に認識されていきます。開けていくんですね。これは本来のチャリティーショップの目的でもあります。売れ残ったものもフリーヘルプに回収してもらえる。喜んでフリーヘルプまで服を取りに来てくれます。すまみらいさんは精神障害者の方たちが利用しているのですが、就労準備研修として取りに来られたりもしています。
シオコレ:私たちはそこが課題です。シオコレは今、販売できなかった衣料品を、そうしたたくさんの活用ルートをお持ちのフリーヘルプさんに引き継いでいただき、お洋服の最終活用に至るまでを頼らせていただけいて、本当に感謝しています。けれど、せっかく塩屋に集まったお洋服ですから、本当は塩屋で活用していきたい。塩屋に無ければ別の地域でももちろん構わないのですが、販売したいと言ってくださる先を見つけたいです!
西本さん:そうですね。あと、活用ルートの話でいうと、今尼崎でもやはり工業用ウエスをつくっていく動きが出てきていますね。工業用ウエスを作る会社の下請けの団体が近所にあって、見学に行ったら進められそうとなって。
シオコレ:さすがですね。竜野の取組みはどうですか?
西本さん:竜野はこれからという感じで、まだスペースができたぐらい。ゆくゆくは尼崎のようにしていきたいんですけどね。支援先がまだ決まってなくて、精神障害者施設が今候補に上がっています。それと竜野のお店の母体が古民家保存会なんです。古いお家の再生ってどんどんゴミが出てくるでしょう、それを再利用できないかということでぼくが呼ばれて町屋再生の理事をすることになった。
シオコレ:ということは扱うのがお洋服だけではないということですね!
西本さん:そう、ドア1枚、棚板1枚から販売できるような、リビルディングセンター的な場所を作りたいということで、知り合いだった岡山の廃材クリエイター大月ヒロコさんという方を竜野の人たちとひきあわせて、今少しずつ進めているところです。
シオコレ:それはまた面白そうですね!
西本さんの今後の展望、他にもまだありそうなので聞かせてください!
西本さん:いやもうそんなに無いですよ(笑)チャリティーショップのモデルケースになるような店がどんどん日本に増えて欲しいから、チャリティーショップを本気でやりたい人がいれば駆けつけて協力します。やりたいという話はたくさん来るんですが、イベント的に軽く考えている人も多すぎるので、そういうケースには申し訳ないけど対応する時間はないですね。尼崎みたいな成功例が出てきて、いい話は増えると思ってるんやけどね。そしたら僕の出番。明日も尼崎で新事業の相談があるということで行ってきます。でも僕は、ペアレント団体がしっかりしていて町の人が求める事業であれば、運営の方法についていちいち口を出さないです。ただ欠点を無くすことで、事業をやりやすいようにしていくだけ。
それから僕は今年73歳なんだけど、80歳でどこかに新店をオープンさせることが目標です。
シオコレ:わあ、そうなったらもう、北野とかの一等地でババーン!とセンセーショナルにやっていただきたいです。西本さんはできてしまうんですから。
西本さんがこれだけ面白くて、最先端のことをして12年間走り続けてきているのに、全然発信が追いついていないのがもったいない!西本さん忙しくしすぎでしょ!
西本さん:だって楽しすぎるから仕方ないやん(笑)世間ではどれだけの人が自分の本当の気持ちや良心を無視するような、嫌な仕事をしていることか。でもチャリティーショップほど楽しい、嫌なことがひとつもない仕事は無いと思っています。これで何とかやっていけて、みんなに喜んでもらえたら最高でしょう?あと、なんでそのノウハウを喋るの?ってよく言われるんですが、本来そんなものだと思います。いつの頃からか世間では他をおしのけようと情報を独占するようになってきたけれど、みんなに使ってもらって全体で豊かになればいいと思いますね。
シオコレ:最後にシオコレにひとことお願いします!
西本さん:街の人たちの期待を背負って、明るく楽しい街にしてほしいです。シオコレがあって良かったと思ってもらえるように。フリーヘルプも12年もやってると、お客さんがお客さんに店のことを説明してくれるようになってね、長田で浸透していってるんやな、長田のために頑張ってくれてると思ってもらえてるんやな、と思えるのが嬉しいですね。そういう店になってほしい。塩屋の欠かせないパーツのひとつになってほしいです。それから楽しく継続して欲しいですね!何度も壁にぶち当たりますからね(笑)
シオコレ:楽しく継続するには工夫が必要ですね!また色々と相談に乗っていただくと思いますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!今日もありがとうございました!!
対談でうかがった内容が良すぎてほとんど削れず、すごい長編になってしまいました。最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
まだまだ歩き出したばかりのシオコレですが、フリーヘルプさんの背中を見せていただきながら、私たちらしく走ってゆきますので、みなさん応援よろしくお願い致します!!
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