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自然を見つめる

 大阪中之島美術館で「モネ 連作の情景」展と「没後50年 福田平八郎」展を同時期に開催している。(いずれも2024年5月6日まで)

特にモネの方が混みあっているということは事前に知っていたので平日に休みを取って出掛ける。(どちらかというと福田平八郎の方が目当て。モネの絵画は目にする機会がこれまで多かったので。)
 平日の13時頃に現地到着。チケット売り場でしばらく並ぶ。どんどん行列が長くなり、予想以上の人出。とはいえ福田平八郎のほうは人が少ない為、エスカレータにも並ばずにすぐに通してもらえる。ゆったり堪能できた。
 その後モネの会場へ行くと、混み混み。ただ通路を広くとっているレイアウトなので特に問題なし。モネの絵はあまり近寄って見つめると絵具の様子が目立ち、何を描いているのかよくわからない。離れて眺めたほうが断然、美しい。どうして皆があんなに作品に近寄って動かないのかが不思議。

 近代の日本画と西洋絵画の対比を体感できる同時開催なので、できれば両方観るのがおすすめだと思う。

 福田もモネも、初期作品の展示から始まり晩年作品まで鑑賞できるので、
作家の作品がどのように深くなってゆくのかを(ざっくりとではあるけれど)理解することができる。
 福田平八郎の方は写生帖も多く展示されていて、そのデッサン力の技術の高さと美しさに驚いたり、第二次大戦中に描かれた植物作品の静謐な佇まいに心打たれたり、した。天才というよりも誠実な努力の人、という印象。
 モネの絵画は材質が油絵具だから当然描き方が日本画とは異なっている。絵画空間の構成も材質で随分変わる。それはさておき画家としての技量が素晴らしい。これまで睡蓮の絵を観ることが多かったけれど、風景や船舶、人物の描写に無駄がない。抽象的な表現をしつつ、何を描いているかは極めて明確。

 二人の画家の共通点は「自然を徹底的に観察する」ことに長けていること。そしてその観察の彼方へ到達するまで生きて、描くことに恵まれたこと。近道は、どこにもないということを体現しているということ。

 どちらの展示も出口で販売しているミュージアムグッズが充実していて、あれこれ悩む楽しみもある。



 

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