第11回 ぶらり句会

柳人の広瀬ちえみさんが主催の「ぶらり句会」に参加している。
リアル句会ではなく、ネット句会の一種のような感じで。
今回は俳人・連句人7名、川柳人21名の合計28名の参加。
題詠「ぱん」、雑詠の2題、各2句の提出。
この句会は柳人以外の参加者が入るので、提出句も評も、幅が広い。
ジャンルが違うと言葉の扱いが微妙に違う。
ということは、解釈も異なるので良い意味で伝わらないことについて考えることにもなる。その辺りをいつも楽しむようにしている。

私の提出句は以下。
「ぱん」竹井紫乙
パンを崇める教団集会所
あんたなんか怪物じゃないよ。ぱん。
「雑詠」竹井紫乙
少し優しい定型の旅館街
両足がつった場合のセロテープ

点を入れた句は以下。
こんなところで紅葉してた笠智衆   加藤久子
笠智衆の持ち味は「普通の人」であったこと。勿論「普通」もかなり変容していますが、 今こそこの「普通」の素晴らしさを考えずにはいられません。ひっそり紅葉する姿は やはり美しい。〝こんなところで〟が効いている。 
平鍋に水木しげるは入らない     樋口由紀子
水木しげる、強力でした。 〝平鍋〟も意味深です。 戦争がいくつも勃発し、日本も無関係ではありえない状況の中の水木しげるはその存在が巨大な 生霊のようです。 
こたつからこたつへ戦わずに行こう   湊圭伍
こたつの暖かさ、寝転がっていられるのんびり感が広がるといいなあ。
というおめでたさが、切実さに変わってしまう昨今。
はつゆきとしているひるさがりの情事  野沢省悟
お手手つないだつないだ先の戦場    野沢省悟

野沢さんの句には色気があるなと思いました。
掲句の状況設定には厳しさがあるけれど平仮名で転調。
ジャングルジムに潜んだ病       雪上牡丹餅
パンジーはヒトの親戚だったっけ    雪上牡丹餅

可愛げ♡。雪上さんは片仮名の使い方が絶妙。
群衆を飾りつければ終りです      松永千秋
この句は高得点でした。まったく隙のない川柳だと思う。
ぱん喰いとなり娘らは出奔す      水本石華
どうしてこうなるのかはさっぱりわからないけれどの説得力がある。
スピード感の強引さに魅かれました。
野生のパン半端なパンと仕分けする   飯島章友
永遠のフランスパンのリフレイン    妹尾凜
世を渡るこつを覚えたコッペパン    鈴木せつ子

上記3句はいづれも食物のパンの句。
飯島さんのシュールな設定、妹尾さんのリズムの愉しみ、
鈴木せつ子さんのパンの種類の選択に心地よい軽みがある。


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