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「女性画家たちの大阪」展 大阪中之島美術館

 “女性画家”という呼称は、現在では使われなくなっているのだろう。
あまり目にも耳にもしなくなった。それくらい美術の世界では活躍している女性が多いのだと思う。
 この展覧会は大正時代に活動していた女性画家を中心に、作品と関連資料を展示。内容も量も充実しており、できる限りそれぞれの画家の足跡も調べ、紹介されている。大正期に若者だった方が多いにも関わらず、生没年が不明の方が何人もいらして、戦争などで失われた資料も多いのではないかと推察されるものの、これが男性だったらどうだったのだろうか、と思う。
ほとんどの女性は結婚する時代であるから、名字も住所も変わってしまうし絵を描くことができなくなった人も珍しくなかっただろう。

 特に印象的だったのはメインで紹介されている島成園。自己表現という点においても、技量においても当時の最先端の画家だったのではないか。どの作品も力強く魅力的。 個性的なのは木谷千種で、インパクトの強い画風。
私の好みに最も適っているのは生田花朝。大らかで明るく朗らか。
三露千萩(昌園)の自画像と同じ家の三露千鈴の作品は、題材はごく普通のものであるけれど、素晴らしく高い精神性の表現を感じた。
橋本青江の山水画もチャーミングで忘れがたい。
吉岡美枝の作品は大阪中之島美術館の所蔵品なので、今後も目にする機会があるのを楽しみにしている。

 着目点やモチーフ、時代性というものにきっちり当時の女性ならではの特性が現れていて、とても有意義で面白い展覧会だった。
 
 


 


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