捕鯨、幻の国、鯨の王国 〜叙事詩『月の鯨』第一の手紙(9)〜
なぜ、オレたちは鯨を追いかけるのか
世界中の数多の捕鯨船が
海の藻屑と消えるかも知れぬ危険を冒し
血眼になって鯨を追い回すのはなぜなのか
もちろん決まっている
金になるからだ
オレたちの住む世界は鯨なしではまわらない
この闇深き世界に灯をともしてくれるもの
それが鯨だ
鯨の体内から溢れ出す純白の油
その神々しき真白きものを手に入れるためにのみ
オレたちは世界を駆けめぐる
鯨がいなければ世界は動力を失い
暗黒世界に沈んでいくことだろう
ところがだ
この神聖なる鯨を食用にしてい