今更だけどおっさんずラブ(ネタバレ)と人を好きになることと

何番煎じだよ、と思いつつ書く。

今更ながら「おっさんずラブ」、わりとどっぷりハマっていた。まだ、余韻を引きずりつつある。そのうえ、好きとは何か、愛とは何かを考えさせられ続いている。
この2週間で考えたこと、まとめ。

はるたんは、「愛」という感情のいろんなタイプを区別できないんだっていう考察は、Twitterでも沢山見かけた。自分に寄せられた好意は、全部ゆるゆると受け止めてしまう。嫌じゃなければ、断らない。
だから、武川主任のために牧君から手を引くのは「なんか嫌だ」って思えたことに、私ははるたんの成長を感じたんだ。
でも、でもおぉぉ! と、6話から7話になるまでの1年間のことを考えてしまう。
はるたんは新しい出会いを求めて合コンも行ってるし(牧君のネクタイだけどな)、牧君への思いを意識的に忘れようとしているように見えた。
あれ? これって、失恋後にありがちな展開じゃない?
そんなときに部長がグイグイ来るわけでしょ。
嫌いじゃないし、なんなら尊敬してるし、好きかも? 好きなんじゃないかな? ってなったのかなぁ。
これって、まさしく、失恋後にありがちな展開じゃないですか。
ということは、はるたんは、きちんと牧君に恋をしてたんだな。ということに気づいてオタクはここで一回むせび泣くんだ。
でも、牧君に振られてしまった。
牧君は牧君で、はるたんの(ストレートの男性としての)幸せを考えて、振ってしまった。ここでもう一回むせび泣き。
このあたり、ミスコミュニケーション(大事なことをきちんと伝えあわなかった)というよりは、やっぱりはるたんの誰でもゆるゆる受け入れ体勢が大きかったんじゃないかと思う。もちろん、牧君の自己肯定感の低さ(故に他者からの好意を信じ抜けない)も大いに心配だったけど。とりあえず、今ははるたんの来るもの拒まない性格について話を続ける。

自分のために何かしてくれる。そういう形の好意を向けられたときに「私そういうつもりじゃないから!!」って好意をはねつけるのって結構しんどい。相手のことが「なんか嫌」以上の嫌悪が生じないのであれば、わざわざ好意をはねつける必要もないのかもしれない。はるたんはそういうタイプなんだと思う。牧君がそれを「ずるい」って言ってた。拒絶されないなら、諦められないよね。部長もそれと同じで、グイグイ行ったんだろうな。
はるたんにとって、拒絶するほどではない、なんとなく存在する「好き」という感情。
他者から「流される」と言い表されることもある感情。
その感情が、親愛なのか、敬愛なのか、恋愛なのか、はるたんタイプの人間には、容易に区別できるものではないんだと思う。流されて、とことん流されて、ようやくそれが何であるか気づくんだ。 
部長のことは尊敬している。でも、本当に「好き」で一緒にいたいと思えたのは、牧君だった。
気づけて良かったね、はるたん。
でも、1年もかかった。結婚式のその瞬間、追い詰められる(実際、部長は追い詰めるのではなく諭す人だったけど)まで、はるたんは自覚できなかった。
自覚するまで、牧君を迎えに行けるようになるまでに、牧君がどれほど苦しい思いをしてたかと思うと「春田いっかい殴らせろ!」という気持ちにもなるけど、たぶん牧君もどこかではるたんのことボコボコにしてると思うから、良しとする。

相手の好意を拒絶できない。
自分の気持ちを区別できない。
追い詰められないと、気づけない。

そして、そこに「好きになる性別」という観点が加わって。
牧君から見て、はるたんはストレートの男性。「あっちの世界の人」だから、それだけでもう自分の気持ちを肯定できない。
でも、はるたんは最終的に「牧君が」好きだった。性別の壁を乗り越えて「牧君が」好きだと自覚できるようになった。

人を好きになるって、そういうことなんだ。
ほかの誰でもなく、その人が好きなんだ。

そのことをドラマから感じ取ったとき、あれ?
って思ったこと。
これって当たり前に自分の中にもあった価値観なんじゃないの?
私がずっと、言語化できなかっただけで。

私がかつて好きになった人たちは、異性だから好きになったんだろうか?
ーー違う。その人だから、あんなに好きだったんだ。
でも、同性に心惹かれることだってあったよね?
ーーあった。恋と言えるかはわからないけれど、憧れる同性がいた。

あのドラマは「おっさん(男性)」同士というところがはじめは注目されていたけど、相手がどんな性別であれ、ただ「その人」を好きになるということは、おかしなことでも何でもない。それだけなんだよなぁ。

私も、基本的に追い詰められないと自分の本音がわからないタイプだ。
追い詰められることなく、うやむやにどこかへやってしまった気持ちがたくさんあった。
あるいは、追い詰められて、やっと自分の気持ちが分かって、お断りした恋愛もあった。
自分の気持ちとなかなか向き合えなかった私は、同時に誰かのことも傷つけていたのかもしれない。

ほかの誰でもないその人を、本当に好きになれたらいいのにな。
誰かを好きであることを、きちんと自覚できる自分になりたい。 

中学生の下手くそな作文の終わりみたいだけど、最終回を見終えた後に、本気でそう思ったし、もう2週間も経つのに、そんなことをいまだに考えている。

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