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希死念慮とずっとつきあい続けてきたのだと思う

希死念慮、という言葉がある。

少し前に検索したので、私の検索窓には、なにか入力すると過去の検索履歴としてこのところずっと表示されている。昨日検索した言葉よりも上に、なぜか、表示されている。(履歴の消去をすればいいだけの話なのだけど)

死にたいなぁという気持ちを抱いていること。おおざっぱに言えばそういう意味の言葉なのだと、私は理解している。自死を積極的に望んでいるわけではないけれど、死にたいなぁという思い。

そういう気持ちが、ずーっと、ずーーーーっと私の中にはあるんだと思う。たぶん中学生くらいの頃から。ずっと。
二十歳くらいの頃に一番大きな波が来て、その時は病院にもお世話になり、服薬を経て、どうにかなった。働き始めてからも、一時危ない波があったけれど、息をひそめて(働いてたけど)、どうにかやり過ごした。

たぶんこれからもそうなのだろう。残念ながら。

この感覚を、うまく説明できない。

何かが突出して嫌なわけでもなく、些細な嫌なことなら誰にでもあることだろうし、それが耐え難いものだと思っていない。

未来への希望がないわけでもない。やりたいことだって、楽しみにしていることだって、まだまだまだ、たくさんある。死ぬわけにはいかない。

そう思う一方で、どうしても未来に希望が持てない。これからの社会のこと。その社会でいずれ新たに家族を持ち子を育てていくかもしれないこと。自分自身の老い。親の老い。自分の生い立ち。
自分の気持ち一つで、あるいは物理で、どうにかできないことがたくさんある。そういうものとどう向き合っていったらいいのか、わからなくなってしまう。わからないから、投げ出してしまいたくなる。

私の中の「希死念慮」はそういうやつだ。いい加減なものだと思う。

だけど、いつか本当に投げ出してしまうような気がする。今がその時ではないだけで。今はぐっと抑え込んでいるだけで。

そんな風に考えている自分に、時折怖くなってしまうことがある。
そして、先に自ら旅立っていった人たちのことを思う。

このところ、才能のある素敵な人たちが、あまりにもたくさん旅立ってしまった。
彼らのことを責める気なんて一ミリもないし、どうか今は安らかであってほしいと祈る気持ちばかりだ。
だけど、引っ張られてしまいそうになる。引っ張られるはずがないのに。

気をつけなければ…といつも以上に気を張っている暮らしているような気がする。気を張って、あたたかいお風呂を準備したり、ごはんをしっかり食べたりしている。それでどうにか体の方からのダメージを減らしているという感じだ。
でも、それで結局心が疲弊していくんだよなぁ……一人暮らしだから余計にかもしれないけれど。

気心の知れた友人に会いたいなぁ。
都内の劇場やミュージアムで推しに会いたいなぁ。
今は仕事がちょっと立て込んでいて、すぐには叶わないだろうけど。
会いたい。すごく会いたい。

そういうことを考えながら、どうにか一日一日をしのいでいくことしかできない。
それでもだめになってしまったら……私には打つ手がない。


母がよく「周りが悲しむのにどうしてそんなことができるんだろう」「自殺なんて弱い人のすること」と言っていた。今もきっと話を振ればそう言うだろう。とてもわかりあえそうにないので、そういう話題を持ち出すことはいつからかやめてしまった。
母に限らず、こういう声は大きくて、とても強い。
それが間違いだとは一概に言えないのだろうけれど、みんながみんなそういう風に生きていけるわけではない。少なくとも私はそうは生きられない。お母さん、あなたの娘は、そんな風に「強く」は生きられないんですよ。
気の持ちようではどうにかならないのだから。
どうしてそこに心を寄せられないのだろう……そこに心を寄せる人が世の中にもっと増えたら……と、他力本願かもしれないけど、思ってしまう。

今年の7月、引用先のnoteに出てくる匿名の彼女ほどではなかったかもしれないけれど、私もとても落ち込んだ。そのとき、この方のnoteにとても救われたのだった。
だから今はどうにか心身を保てているのだと思う。

見ず知らずの誰かの言葉に、こうして救われることがある。
でも、それすらなかったら、匿名の彼女も、私も、どうなってしまったんだろう。

どうにもならなくなってしまったとき、がやはり私はとても怖い。

今では自死のニュースにいのちの電話の番号が掲載されるようになったけれど、そこで救われることはあるのだろうか。センセーショナルな記事の後に味気なく番号が載せられていることには、いつも違和感がぬぐいきれないでいる。そもそもそんな記事を出さないでくれよ、と思うからだろう。

私は、いつか私がどうにもならないほど追い詰められた時、その番号に、あるいは、身近な誰か信頼できる人に、手を伸ばせるだろうか。
伸ばしてほしいと思う。私でない、誰かにも。


「日本いのちの電話」
ナビダイヤル 0570-783-556
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