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長くて難しい本を読むためのTIP

"A Note on Reading Big, Difficult Books..."(『長大で難解な本を読むことについて…』)という記事がおもしろかったので、表題のTIPの部分だけ抜粋して抄訳してみました。

(1)その本の執筆目的を予め把握しておく。
(2)想定読者(=同時代、その主張に共鳴する人)の考え方に頭を慣らしておく。
(3)メモを取りながら、能動的に読む。
(4)その主張を、できる限り説得力のある表現に再構成する。
(5)誰か(同居人など)を捕まえて、「再構成版」の主張内容を聞いてもらう。
(6)もう一度、今度は共感的に(しかしあまり真に受け過ぎず)読む。
(7)この段階で、その主張(の強化版)の弱点が何かわかるようになっている。
(8)主要な主張と解釈を現実にあてはめ、現実の世界という文脈の中で不具合がないか検証する。
(9)全体としての自分自身の考えを定める。
(10)読んだことや解釈を、今後の知的道具立てのひとつとして心の中に収める。

すごく納得できます。意識していなくても、このなかのいくつかを自然とやっている人も多いと思います。

私は、(特に学生の頃)、

(4)その主張を、できる限り説得力のある表現に再構成する。
(5)誰か(同居人など)を捕まえて、「再構成版」の主張内容を聞いてもらう。

の2つを色々な人にやっていました。

原文だと" bore them to death by making them listen to..."(「聞いている相手を退屈で死に至らしめる…」)とあるくらいなので、当時の相手となった方々には大変ご迷惑をおかけしたと思いますが(笑)、そのおかげでそれらの物事への理解はかなり深まったと感じます。

本をただ読むだけで理解することは難しい

参照先記事は、そもそも "Why books don't work" (『本に効果がない理由』)が話題になったことをきっかけに書かれています。

この記事の趣旨は、

「長い本を読んでもほとんど記憶に残らない」と悩む人は多いが、本はそもそも明確な知識伝達モデルを持たずに生まれたメディアで、「学ぶためのメディア」ではなく「知識を保管しておくメディア」に近い

そういう、いわば「原罪」を持って生まれた本というメディアは「読者が文を読み、読むことで理解される」という知識伝達モデルを暗黙に仮定しているが、このモデルの学習効果はほぼない。

そのため、本で何かを学ぶには、読者の側で明示的に知識獲得のモデルを準備する必要がある。

といったものです。とても納得できます。ここでいう「知識獲得のモデル」について、少し説明します。

それぞれの本にそれぞれの「読み方」がある

著者によっては、「はじめに」などの章で「この本はこういう風に読んでくださいね」というように、読み方を示してくれる(=知識獲得モデルを明示してくれる)場合があります。

例えば、学問や技術に関する本では「非常に簡潔に書いてあるので、章ごとに参考文献にあたって、理解を深めてください」とか「〇〇の章は理論的なことだけ取り上げているので、実践したい人は先に〇〇の章を読んで、慣れてから理論の章を読んでください」といった説明をよく見かけます。

育児書など読者層を広く設定している本では、「基本的にどこから読んでも大丈夫なので、目次を見て気になるところから読んでください」「全章末に要約があるので、それだけ読んでも構いませんよ」といった説明があることが多い印象です。

著者自身がその本に適した読み方(知識伝達モデル)を示してくれる本は稀有です。それがない本を読むときのために、この記事で紹介したtipを覚えておくと便利かも。

参考記事

"A Note on Reading Big, Difficult Books..."
"Why books don't work"

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