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曜日の集う喫茶店

これは世界のどこかにある、喫茶店の話。
24時間営業の喫茶店には、毎日午前0時になると
チャリンチャリンと店の扉が開き、常連客がやってくる。

「…いらっしゃい。」

寡黙な熊のマスターがお出迎え。
イメージ的にはLINEのブ◯ウン。

くまのマスター


「やっほー!!マスター元気~??あ、とりあえずメロンソーダ頂戴!それとナポリタンも!」

「…はいよ。」

ニコニコ陽気にいつものカウンター席に勢い良く腰をかけるのは、日曜日さん。
いつも明るく元気。まるで太陽みたいにずーっと元気に話し続けている。

「あ~やっと来た~今日も1日長かったな。お疲れ様~。」

気だるげに長い髪をかき分けて席を立つもう一人のお客さんに、日曜日は声をかける。

「あれ~土曜日ちゃんもう帰るの~?私と朝までお話しようよ~!!」

「…やだよ。もう疲れたから帰って寝る。じゃあね、また来週。」

「え~残念だな~。またね~♪」

バイバイと手を振りながら喫茶店を後にする土曜日さん。レトロな音楽が流れる喫茶店には、マスターと日曜日の二人きりの時間。

_ここは、曜日の集う喫茶店。

彼・彼女達は、週に一度この喫茶店にやって来る。
午前0時から、次の日に変わるまで。
24時間思い思いにこの喫茶店で時を過ごす。

なぜこの喫茶店に集まるようになったのかは分からない。だけど、必ずみんな、週に一度はやってくる。

ルンルンと足をぶらぶらさせてカウンターで鼻歌を歌いながら、透き通るようなエメラルドグリーンの上に真夏の雲みたいなアイスクリームが乗った大好物の飲み物を、嬉しそうに、楽しそうに口に運ぶ日曜日。

マスター特製、喫茶店名物のナポリタンも、彼女が必ず頼むメニューだ。ケチャップがたっぷりとかかった昔ながらのパスタに、粉チーズをたっぷりかける。

「わ~い!いただきま~す♪うん!!おいしい!!」

「…ふふっ。ありがとう」

思わずマスターも笑ってしまう食べっぷり。
食べ終わると、テーブル席にあるふかふかの茶色いソファーに寝っ転がり少しの間お昼寝をするのが日曜日の日課だ。

「ふぁぁ…おやすみなさ~いマスター。」

「……おやすみ。」

3秒後にはすぅすぅと寝息を立てる日曜日に、ブランケットをかけるマスター。

きっと朝までぐっすりと寝てしまい起きない。
そして、マスターも起こしたりはしない。

誰にでも等しく流れる時間の陰で、
曜日達がこの喫茶店でどのように過ごすのかは、
マスターにとって何の興味もない。

ただ、安心して過ごして欲しい。
それだけだった。

きっと日曜日は、朝起きたら甘いカフェオレとサンドイッチを頼むだろう。材料はあったかな…と食材を確認するマスター。

明日になれば月曜日が来る。
クールで物静かな月曜日は、お気に入りの本を携えてブラックコーヒーとホットドッグを注文する。

熱血で燃えるような火曜日が来ると、
毎回必ず担々麺を注文する。
うちはラーメン屋じゃないのに。
だけど、火曜日限定で辛い担々麺も作ってもいいかと思い始めている。

自由奔放な水曜日は、毎週違うメニューを頼む。
カレーの日もあれば、チャーハンがいい、今日はオムライスがいい!と気分によって変わる。

優しく穏やかな性格の木曜日は、いつも差し入れを持ってきてくれる。大好物の蜂蜜。大好き。
甘いものが好きな木曜日は、よくショートケーキやパンケーキ等のデザートと、抹茶オレを注文する。

しっかり者の明るい金曜日。
元気が出るからと言って、よくオレンジジュースを飲んでいる。お酒が好きな金曜日は、夜になると大人のビールを枝豆と注文し、午前0時に酔っぱらって帰る。

さっき帰ったばかりの土曜日は、チョコやクッキーなどのお菓子が大好き。いつも眠たげな土曜日は、日中になると暖炉の前にあるハンモックでゆらゆらとお昼寝をしている。

個性の違う曜日たちが喫茶店で一度に集まることはないけれど、もしそんな日が来れば、きっと賑やかになるだろうなと考えるマスター。

「すぅ…すぅ…お外明るいよ……すぅ…」

きっと、明るくなる夢でも見ているのだろう。

_ここは、曜日の集う喫茶店。
世界で一番穏やかな時間_

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