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幼い頃の物語

幼い頃、私は祖母の話してくれる怪談や幽霊の話が大好きでした。
もちろん、「優しいおばあちゃん」が大好きだったからでもあります。
少し離れていた所に住む、おばあちゃんの家に行って過ごす春休みや夏休みが、とても楽しみでした。
いつも、おばあちゃんが作ってくれた美味しいおかずで、テーブルの上がいっぱいになって嬉しかった。
寝る前には、枕元で怖い話を聞かせてくれてドキドキした。
私の好きな無花果を、冷やしておやつに食べさせてくれた。

そんな楽しい時間を過ごせる所が、「私の本当の家」だと思い込んでしまうくらい、しょっちゅう母に連れられて帰っていたものです。
(母にとっては、実家でしたので。)

私は、そんなおばあちゃんの影響を受けて、幽霊や妖怪の世界が大好きになりました。
過干渉な両親が嫌でしたし、学校もつまらない。
妖怪は、そんな私の心を虜にしました。
小学生になると、授業中もぼんやりと妖怪の事を考え、帰り道では妖怪の本を読みながら、のんびり歩く。
そんな子供でした。

学校も授業も女の子の友達とのつまらない遊びにも、興味が湧かなかった私は、1人で図書館に行って本を読むのが好きでした。
そして、作文の授業。ここでは、何を考えて何を書いても誰にも怒られない。そんな自由さから、自作の物語を書いたりしていました。
夏休みの自由研究は、小説を書いた原稿用紙の束をホチキスで閉じて提出しました。
普段は「変わった子」と言われていた私も、こんな時だけは褒められました。嬉しい時間。
それは、おばあちゃんがくれた大事な「自由な心」のお陰でした。

おばあちゃんが、私の住む所に会いに来てくれる事もありました。
そんな時、本屋さんに行って好きな本を買ってくれました。
殆どが、幽霊や妖怪の本でしたが、一番気に入って集めたのが、水木しげるさんの妖怪図鑑シリーズでした。
「世界ようかい図鑑」「日本ようかい図鑑」などが、今でも実家の納戸の本棚に並んでいます。

初めての記事は、幼い頃の私の物語を書いてみました。
天国に行ってからも、世界で一番好きなのは、おばあちゃん。
大人になってからも、目に見えない妖怪や幽霊・怪談の世界が大好きです。
誰もが生きる現実の世界より、そんな世界に思いを馳せて過ごす事が心がふんわりして、とても落ち着くのです。

また、次の記事でお会いしましょう。

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