マーレー志雄

サッカー指導者、通訳。 サッカーの指導に関することを中心に。

マーレー志雄

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記事一覧

Whole-Part-Whole. 戦術理解を促す方法

以前、ツイッターの方でWhole-Part-Whole という方法を紹介しました。 それはゲームから練習を始めて、部分的な練習を間に挟み、ゲームで終わるという、全体→部分→全体…

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ベルギー対日本、後半の分析

「ある試合を選び、そこで行われた戦術的変更を正当化しなさい」という課題を出され、最初に頭に思い浮かべたのは2018年ワールドカップでフェライニを投入して流れを変えた…

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クロスの7-8ヤード理論

以前いかにもイングランドらしい理論だなって思ったものに出会ったのでご紹介します。 ただし注意事項があります。この記事はクリティカル(批判的)に読んでほしいです。…

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現象を引き出すために反対側をマネジメントする

山田先生と練習の組み立てや現象の引き起こしについて話してて、「俺はこうしてるよ」って言ったら「その考え方シェアした方がいいよ」って言われたので書いていきます。 …

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ターンを防ぐ1v1

イングランドでは、1v1の守備が3種類あります。(あくまでも僕が把握している範囲ですが) 一つ目は前回のnoteで紹介したForcing Play。相手がある方向にプレーせざるを得…

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4S:賢く効果的な1v1の守備とは

だいぶ前の話になるのですが、ハンプシャーFA(以下FA)が開いたジュニアユース向けの「Intelligent Defending in 1v1」という講習会に行ってきて、英語では非常に覚えやす…

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【指導者向け】戦術練習のオーガナイズの優先順位

みなさんはチーム全体での戦術練習や、ゲーム形式での練習でチームをどのようにオーガナイズされていますか? 先日、UEFA Bのプレコースに行ってきて、そこで紹介されたチ…

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練習メソッド

世の中には、「○○メソッド」といったものが溢れていますが、今回のnoteは根本的な「練習中に使う型」としてのメソッドを書いています。 すでに読んだことがあるような内…

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プレミアリーグのフィジカル分析から育成年代で取り組むべき課題

初めまして。イングランドでコーチをしているマーレー志雄(しおん)と申します。 タイトルにあるような事を、私が学んできた事や実践してきた事をベースに書いていきます。…

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【指導者向け】FAの講習会で目にした斬新なフリーズの方法

先日、僕が住んでいるハンプシャー州のFAが開いた講習会に行ってきて目にしたフリーズの方法がおもしろかった、というか初めて目にしたものだったのでシェアしたいと思いま…

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AFCボーンマス、キーパー講習会

今回はキーパーについての記事です。 11月6日にボーンマスのバイタリティスタジアムでキーパー部門のスタッフ陣が講習会を開いてくれたので、行ってきました! 実は初の…

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-駄文- 未来のサッカーってどんなの?

本当になんでもないことですが、今日ふと考えてたことはツイートじゃ長すぎるのでnoteにしちゃおうと思っていま書いてます。 タイトルにあるように、「未来のサッカーって…

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リサイクル旋回(ローテーション)について深掘りしてみた

この前フットボリスタで紹介されていた「リサイクル旋回」について深掘りして考えてみました。なぜローテーションするのか、ローテーションの型、練習など。 僕が「ローテ…

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Performance Profiling

今回紹介するのは、昨シーズン指導していた大学生のチームで取り入れてみたPerformance Profilingというスポーツ心理学における選手への介入方法の1つです。 Performance P…

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ベルギーの育成モデルからプレイヤーズファーストを学ぶ

6月5日にマンチェスターまで行き、育成に関するカンファレンスに出席してきました。 お目当てはベルギーサッカー協会の指導者養成の最高責任者、クリス・ファン・デル・ヘ…

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国内での女子フットボールの地位を確立するためにも今回のW杯はイングランドに勝ってほしい

前回のブログ更新からずいぶんと経ってしまいました。 ちょっとブログが死んだっぽいのでnoteに初投稿します。(ブログの記事は読めるんですけど投稿ができない…) 今回…

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Whole-Part-Whole. 戦術理解を促す方法

Whole-Part-Whole. 戦術理解を促す方法

以前、ツイッターの方でWhole-Part-Whole という方法を紹介しました。

それはゲームから練習を始めて、部分的な練習を間に挟み、ゲームで終わるという、全体→部分→全体の流れで練習をすることにより、選手のゲーム理解、戦術理解が深まるというものでした。

その後、何度かこれについて詳しく教えてほしいと尋ねられることがあったので、今ここに書いて今後の回答を避けようと思います笑

Whole-

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ベルギー対日本、後半の分析

ベルギー対日本、後半の分析

「ある試合を選び、そこで行われた戦術的変更を正当化しなさい」という課題を出され、最初に頭に思い浮かべたのは2018年ワールドカップでフェライニを投入して流れを変えた試合でした。

この記事は、フェライニの投入が試合にどのような影響を与えたのかを検証し、ベルギーの視点からどのように正当化できるか、という課題を日本語に翻訳したものです。

動機としては、試合における「流れ」を明らかにしたいというもので

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クロスの7-8ヤード理論

クロスの7-8ヤード理論

以前いかにもイングランドらしい理論だなって思ったものに出会ったのでご紹介します。

ただし注意事項があります。この記事はクリティカル(批判的)に読んでほしいです。

目次の最後にもあるように、僕はこの理論を導入して失敗した過去があります。

失敗したからといって悪い理論だということではありません。うまくいった人がいるから理論になっているので。

「これはうちのチームでは使えるのか?使えないのか?」

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現象を引き出すために反対側をマネジメントする

現象を引き出すために反対側をマネジメントする

山田先生と練習の組み立てや現象の引き起こしについて話してて、「俺はこうしてるよ」って言ったら「その考え方シェアした方がいいよ」って言われたので書いていきます。
もしかしたらどこかで聞いた事があるやつかもしれません。
僕もどこかで聞いたもしくは読んだ記憶があるので。

https://twitter.com/yamadaessay/status/1255823971066368000?s=20

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ターンを防ぐ1v1

ターンを防ぐ1v1

イングランドでは、1v1の守備が3種類あります。(あくまでも僕が把握している範囲ですが)

一つ目は前回のnoteで紹介したForcing Play。相手がある方向にプレーせざるを得ない状況に追い込む1v1の守備技術。

2つ目は今回紹介するPrevent from Turning, 「ターンさせない」1v1。相手が後ろを向いている状況で前を向かせないための1v1の守備技術。

3つ目は次回紹介す

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4S:賢く効果的な1v1の守備とは

4S:賢く効果的な1v1の守備とは

だいぶ前の話になるのですが、ハンプシャーFA(以下FA)が開いたジュニアユース向けの「Intelligent Defending in 1v1」という講習会に行ってきて、英語では非常に覚えやすい1v1守備のキーファクターを学んだのでシェアします。
(ハンプシャーは僕が住んでいる州です)

イングランドDNAまず初めに、この守備を理解するにはイングランドではFAが推し進めるイングランドDNAとい

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【指導者向け】戦術練習のオーガナイズの優先順位

【指導者向け】戦術練習のオーガナイズの優先順位

みなさんはチーム全体での戦術練習や、ゲーム形式での練習でチームをどのようにオーガナイズされていますか?

先日、UEFA Bのプレコースに行ってきて、そこで紹介されたチーム全体での戦術練習においてチームを整備する優先順位が興味深かったので紹介します。

そしてこれを僕も参加している指導者交流サロンに投下したところ、「自分は違う優先順位でやっている」といった違う人の視点を得られたので、合わせて紹介し

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練習メソッド

練習メソッド

世の中には、「○○メソッド」といったものが溢れていますが、今回のnoteは根本的な「練習中に使う型」としてのメソッドを書いています。

すでに読んだことがあるような内容だと思いますし、僕も以前noteを始める前にブログをやっていて、そこでも書いた内容でもありますが(ここから読めます)、そこにほんの少しアップデートを加えたものでもありますので、イングランドでは練習メソッドをどのように分けているのか、

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プレミアリーグのフィジカル分析から育成年代で取り組むべき課題

プレミアリーグのフィジカル分析から育成年代で取り組むべき課題

初めまして。イングランドでコーチをしているマーレー志雄(しおん)と申します。

タイトルにあるような事を、私が学んできた事や実践してきた事をベースに書いていきます。

この記事はプレミアリーグが他のリーグとプレースタイルにどのような違いがあり、その影響でどのようなフィジカルの違いが表れ、そのレベルでプレーするためには育成年代からどのようなフィジカルの準備が必要になるかということが書いた記事になりま

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【指導者向け】FAの講習会で目にした斬新なフリーズの方法

【指導者向け】FAの講習会で目にした斬新なフリーズの方法

先日、僕が住んでいるハンプシャー州のFAが開いた講習会に行ってきて目にしたフリーズの方法がおもしろかった、というか初めて目にしたものだったのでシェアしたいと思います。今回のnoteは超短いです。

サッカーの指導には様々な方法がありますが、フリーズというのはエクササイズを止めて(フリーズ)、選手をその場に立たせた状態で、その場面の状況を理解させる時に使う、極めて一般的なコーチング方法です。

先日

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AFCボーンマス、キーパー講習会

AFCボーンマス、キーパー講習会

今回はキーパーについての記事です。

11月6日にボーンマスのバイタリティスタジアムでキーパー部門のスタッフ陣が講習会を開いてくれたので、行ってきました!

実は初のバイタリティスタジアムだったのですが、テレビで見るよりも小さくて驚きました。リーグ1(3部)のクラブがプレミアで戦っているっていうのは本当だったんだなって感じました笑

さて、今回の講習会ですが、理論を2時間半やりました。本当は実技が

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-駄文- 未来のサッカーってどんなの?

-駄文- 未来のサッカーってどんなの?

本当になんでもないことですが、今日ふと考えてたことはツイートじゃ長すぎるのでnoteにしちゃおうと思っていま書いてます。

タイトルにあるように、「未来のサッカーってどんなのだろう」っていうのをマンU対リバプールを見ながら考え始めました。

未来と言っても30年や50年後の話ではなく、2年、5年、10年後のこと。

例えば、ほんの数年前まではビルドアップにおいてサイドバックが配球のポイントとして重

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リサイクル旋回(ローテーション)について深掘りしてみた

リサイクル旋回(ローテーション)について深掘りしてみた

この前フットボリスタで紹介されていた「リサイクル旋回」について深掘りして考えてみました。なぜローテーションするのか、ローテーションの型、練習など。

僕が「ローテーション」をセオリーとして学んだのはJed Davies氏が書いた「The Philosophy of Football: In Shadow of Marcelo Bielsa」からでした。
この本はビエルサのサッカーを関係者(ビエルサ

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Performance Profiling

Performance Profiling

今回紹介するのは、昨シーズン指導していた大学生のチームで取り入れてみたPerformance Profilingというスポーツ心理学における選手への介入方法の1つです。
Performance Profilingとは、選手にそのスポーツにおいて成功するために必要なことを自覚したり、自分の長所と短所が自覚できるようになるためのツールです。
また、これは選手のためだけでなく、コーチが選手の視点を理解す

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ベルギーの育成モデルからプレイヤーズファーストを学ぶ

ベルギーの育成モデルからプレイヤーズファーストを学ぶ

6月5日にマンチェスターまで行き、育成に関するカンファレンスに出席してきました。
お目当てはベルギーサッカー協会の指導者養成の最高責任者、クリス・ファン・デル・ヘーゲン氏のプレゼン。
他のプレゼンターからもたくさんの学びがあったのですが、クリスのプレゼンは期待していた以上の学びがありました。しかしそれと同時に大変な危機感を覚えました。

理論の部分では「うんうん、そうだよね」「これが育成にいいよね

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国内での女子フットボールの地位を確立するためにも今回のW杯はイングランドに勝ってほしい

前回のブログ更新からずいぶんと経ってしまいました。

ちょっとブログが死んだっぽいのでnoteに初投稿します。(ブログの記事は読めるんですけど投稿ができない…)

今回は、06/07に開幕したばかりの女子ワールドカップについて。
それもイングランドの女子サッカーについて。

みなさんはイングランドにおける女子サッカーってどれくらい知っていますか?
軽く自己紹介しますと、僕は今シーズンイングランドで

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