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ローブ・ア・ラ・フランセーズまでの道のり

ヒストリカルコスチュームを研究し始めたのにはそれなりに訳があります。

最近アトリエSHIONEを知った方はご存知ない方々も多くなってきましたが、汐音は元々コスプレイヤーです(今も卒業はしておりません!)コスプレイヤーと言っても漫画やアニメはほとんど嗜まないので少々ジャンルが特殊でして、主に宝塚などのミュージカルのコスプレをして楽しむということを10年以上続けていました。(今年で20年目になります)

最初はエリザベートのドレスを着てみたかったのが発端で、大劇場に隣接するステージスタジオを着倒し自分で作るに至った次第。洋裁の知識皆無の状態から独学でウエディングドレスの解体から初めて現在に至っています。
洋裁学校などで学んだことは1度もありません。

作っていたドレスといえば

こんな感じ。ミュージカルに出てくる登場人物になりきって撮影するためにがむしゃらで衣装を作っていました。実はコスプレとしてはドレスよりも男装が多かったのですが

ティリアン、オスカル、トートの汐音

途中からDィズニーHalloweenに夢中になり、数々のプリンセスの仮装も楽しみました。

華やかなスパンコールやフリルやレースたっぷりのドレスを着る事が何より楽しかった!そんな私にある転機が訪れます

ヴェルサイユ宮殿で舞踏会が開催されるってよ‼︎

大事件です。
あのヴェルサイユ宮殿でドレス着れるんですよ‼︎‼︎
お姫様ドレス大好き、ベルサイユのばら大好きな私が今まで飛行機に5時間以上乗るのが無理!と諦めていた渡仏を決め、舞踏会には間に合いませんでしたが翌月に開催されたオランジュリーの仮装パーティーの切符を胸にフランスへと渡りました。それが2015年6月のこと。

この時点でヒストリカルコスチュームの知識はほぼ皆無でした。
先輩コスプレイヤーの某Nさんが、コミケなどのイベントでヒストリカルコスチュームを着ているのを見てはいましたが、とにかく派手でキラキラふわふわしたドレスが大好きな私には歴史に沿ったドレスはどこか物足りず「ふーん」くらいに思っていたのです。2015年の渡仏の際も、できる限り現代っぽい材料は使わずに歴史衣装?に寄せて行こう!という心意気で作ったドレスがこちら

ヴェルサイユ宮殿の庭園にて
ヴァトープリーツの意味がわからなくて、ドレスに別付のマントがついています…

羽根がたくさんついたお姫様ドレスでございます✨
なんせ歴史衣装を纏った方々がたくさんいる中で、この舞台衣装っぽいお姫様ドレスはとても目をひきまして客観的には「好評だった」と思います。

が、

私は忘れない。あの日イタリアの歴史衣装ガチ勢から向けられた冷たーい視線を…
ガチ勢は、ガチとしか仲良くしてくれない。そもそもアジアの人間が何をドヤって変なドレスでそこにいる?(という被害妄想に見舞われた…)
イベント自体はとても楽しかったのですが、とてもモヤモヤが残る体験となりました。この時点で私の年齢は35歳。

ドレスを着るのに年齢は関係ない!

っと今なら大きな声で叫べますが、この時の私は色々と限界を感じていました。
私の中でドレスを着ているお姫様っていうのは10代で、可愛くて、可憐で、、、私もう無理じゃない?という固定概念ガチガチの思いがちょうど募っていたのです。

そんな私、ヴェルサイユで本場の歴史衣装愛好家の方々をみて衝撃を受けました。

ドレスってそもそも、その時代の衣服なのだから年齢に関係なく誰もが着ていたものだし、欧州の歴史衣装愛好家の方々みなさん60代以上の方々が多くて年齢気にして楽しんでいる人なんて誰もいなかった!!!

あともう1点、私はバストが大きいのが悩みで宝塚のコスプレやDィズニーのプリンセス仮装をする際には胸を潰してドレスを着ていました。これまた固定概念ガチガチでバストが大きいことはプリンセスの定義から外れている気がしていたのです。

その点、欧州の歴史衣装特に18世紀後半は胸があってナンボです‼︎

そこから、私の研究が始まります。

一番最初に作ったローブ・ア・ラ・フランセーズはポンパドゥール侯爵夫人のものでした。ポンパドゥール侯爵夫人が昔から大好きで、ヒストリカルコスチュームを研究する前からなんとなくなお姫様ドレスとして2回ほど作った事があります

グリーンのローブ・ア・ラ・フランセーズの肖像画を元に作ったお姫様ドレス
サーモンピンクのローブ・ア・ラ・フランセーズを元に作ったお姫様ドレス

このうち、サーモンピンクの方のドレスをローブ・ア・ラ・フランセーズに作り直そうと悪戦苦闘。

なんだよ!ヴァトープリーツって!!!!!

作っては失敗。作っては失敗の繰り返しでなんとか出来上がったと思って試着してみたら

全然着れない!!!!!!

幸いなことに私には古くからのお知り合いの先輩Nさんがいたため、泣きついてヒントをいただく事でなんとか着れるレベルのドレスを作ることには成功。
しかし、ここからローブ・ア・ラ・フランセーズ探究の道のりは長く…今までのドレスの概念を一旦全部捨てて全てを学び直しとにかくトライ&エラーを繰り返すことで現代に至ります。そしてローブ・ア・ラ・フランセーズへの探究はまだまだ今も続く…

なんとか着れるようになったローブ・ア・ラ・フランセーズ1号はDィズニーHalloweenでの実写版美女と野獣のものでした。

当時の私、すごくがんばった‼︎

サーモンピンクのポンパドゥール侯爵夫人はローブ・ア・ラ・フランセーズにリメイクしてヴェルサイユ宮殿の舞踏会で着用いただきました

華やかなドレスを着て遊ぶことに勝手に年齢の上限をつけて悲観していた私にとってヒストリカルコスチュームとの出会いはとても大きく、年齢や体型で諦めることなくドレスを楽しみそのドレスを纏うことで歴史を探究し、歴史的建造物との融合を楽しむという新たな発見をくれました。

ここから、アトリエSHIONEへの着想が芽生えます

私と同じように、もし年齢や体型でドレスを纏うことを諦めている方がいたら手を差し伸べたい‼︎

その最初の1歩がローブ・ア・ラ・フランセーズというドレスとの出会いでした。

ローブ・ア・ラ・フランセーズには100着あれば100通りの作り方があります。

2023年に作ったローブ・ア・ラ・フランセーズ

それは現代の洋裁の技術とは全く違った観点から構造を試行錯誤した先人たちの足跡。ドレスを着たい!という想いから徐々に私の中で、「先人たちの足跡をたどってみたい」とう壮大なロマンに変わっていくのです。

このロマンを皆さまと共有したい!と思うまでの道のりはまた次回!

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