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『マリー・アントワネットの大盛装(白)』

ヒストリカルコスチュームを研究し始めて、6年目になる。
それまで、私はミュージカルの衣装やディズニープリンセスの仮装をメインに活動していて、ヒストリカルコスチュームとは似て異なるジャンルに生きていた。
私が「歴史的な衣服の研究をしなくてはならない」と思ったきっかけがこのドレスに詰まっているので、ちょっと思い出話を振り返ろう

2016年六本木ヒルズ『マリー・アントワネット展』

六本木ヒルズ内の美術館で開催された「マリー・アントワネット展」この展示会が私の運命のターニングポイントとなった。
この展示はご縁あって、内覧会から見させていただくことになる。
そしてこの展示会の企画で、ドレスを着て会場を楽しめるイベントがあり、張り切って応募して見事当選!せっかくなので

「メイン展示のあの白いドレスで行きたい」

と思った。当時の私はヒストリカルコスチュームに関してほぼ無知。なので素材や構造も全く現代のもので代用してそれっぽく制作。友人たちと六本木交差点で待ち合わせをし、イベントを楽しんだ

赤のドレスは宝塚版:緒海さん、白のドレスが汐音
ヒストリカルドレスの大先輩Nomiさんもご一緒に
六本木の街をこのドレスで歩く

スッキリにも出演

私とマリー・アントワネットの原点

そして、この様子が取材に来ていたフランスの国営放送の目に留まった。彼らは日本国内におけるマリー・アントワネットのイメージについて「カワイイ」文化との融合とかそのあたりについての取材をしていたらしい。
扮装を楽しみながら展示会を見ることができるイベントがもう1度開催されることになり、今度は着替える段階からフランスからの密着取材がついていた

六本木交差点をそぞろ歩くアントワネット一行
フランスの取材班と

この六本木での様子を同行のカメラマンが撮影したものが、ヨーロッパ全土で発売されているファッション誌のグラビアに採用されまして、

日本のマリー・アントワネット

として大々的に掲載されました

今思えば、なかなかすごいことだと思う。
取材はこのあと、コミケで舞台版のマリー・アントワネットを着用する日まで2日間にわたって行われました

この出演はとても名誉なことだったのかもしれない。
が、出演したことがきっかけで、私はあらゆることに気づいてしまった。

この取材当時の私は本当に無知だった‼︎

そして、これが日本のマリー・アントワネットに対する認識なのだと世界に発信されてしまった‼︎‼︎

ただただ華やかなドレスに憧れて、キラキラふわふわしていることに憧れて
「マリー・アントワネットが好き!」と口走ることの軽率さと愚かさにものすごーーーーーーく気づいてしまった。彼女の真実なんてこの当時の私にはどうでも良かったかもしれない。多くの日本人がそう思うように、マリー・アントワネットはおバカで軽率な派手好き王妃様であればそれで良かったので。

本当に、大きな間違いだった。

でも、気づくことができてよかった。

この贖罪の気持ちが、今の私の原動力となりました。
ここから私は真摯に研究と、彼女の真実にできる限り迫ることを活動の拠点としたのです。

このドレスには他にもたくさんの思い出があります

2017年神戸まつりのパレードに出場

お声かけいただき、神戸まつりのパレードに出場しました

2017年ヴェルサイユ宮殿宮廷舞踏会に参加

初めてのヴェルサイユ宮殿舞踏会。期待に胸を膨らませて参戦。

この年はラデュレのマカロンタワーがあった一番豪華だった年!
重たいドレスで歩き回って最後は出口で休憩

この舞踏会で出会った世界のお友達とは、その後仲良くしていただいています

2018年5月・第1回アトリエSHIONEの舞踏会

アトリエSHIONEとしての初めての舞踏会での王妃様のドレスもこの白の大盛装

2022年4月・アトリエSHIONEの舞踏会in大阪

大阪での初開催の舞踏会での王妃様

さようなら!

っと、ここまでこのドレスの思い出を語って参りましたがこの歴史の中で5回ほど手直しが入っています。少しずつ進化をしながら、たくさんの華やかな場に立ったドレス。スタジオSHIONEでもたくさんのゲスト様に楽しんでいただきました。

5月、生地、素材を全て一新し新しい白の大盛装が完成し現在アトリエSHIONEで活躍中です。そのため、何度かの洗濯を繰り返し、屋外での着用も多かったこのドレスは処分することとなりました。

私に今の仕事をさせるきっかけをくれたドレス
私が生涯をかけてやるべきことを見つけることができたドレス

寂しいけれど、さようなら!
そしてありがとう!!

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