すっぱいみかんが好きなんだけど、みんなはどう?

中学生以来、一度も行っていないおばあちゃんの家の誰も手入れをしていないみかんが好きだった。それは皮がかたくて分厚くて、種がよく入っていて、すずめもあんまり食べに来ないくらいには食べにくかった。

自分の3倍くらいある大きな脚立に登って、ぶちっと木からもいで食べるみかん。ぐらぐらする脚立の上で、ぽかぽかの太陽にあたりながら食べるみかんは、ちょっとのスリルも相まってすごくおいしかった。食べたあとの種は、番犬の名前を忘れた犬に見られながら遠くにぷーんと飛ばしていた。たまに飛ばすために気合いを入れているときに飲みこんでいたなぁ。

もしかしたらあれがしおんがどこかに忘れてきたと思っていた青春の味だったりして。

家族の誰も好きではなくて、いつも独り占めしていた。ガツンとくるすっぱさと、口の中に残るもはや薄皮とは言えない皮をもぐもぐしているのがおいしかった。


最近よくみかんを食べる。だいたい韓国から輸入しているらしく、決まって冷蔵で並んでいる。ドラゴンフルーツとロンガンに挟まれてみかんが並んでいるのは、どこか異様な景色で、日本のこたつの上でまったり食べられる姿とは似ても似つかない。

そのみかんは皮が薄くて、味も薄くて、薄皮は分厚くて、種が入っている。…あまり買わない。

ぼんやりとしたみかんは、みかんというよりは みかん〜な感じ。後半のみかんは、ロボットかどうか確かめられるときのあのぼんやりしてゆがんだ文字のイメージ。

日本に住んでいたときもそう。最近のみかんは、甘い。甘すぎる。最近の若者は…って居酒屋でおやじが言うみたいに言ってしまったんだけれど。甘さを追求されたみかんは、果物ではなくフルーツ。おしゃれなfruitに変わってしまった。悔しいな。あの皮が分厚くてとびきり酸っぱいみかんが好きなんだけどな。

サポートしてもらったことないから、してほしいな