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for serendipity865「ファンタジーとアナーキー」

ミヒャエル・エンデの『エンデのメモ箱』(1996)所収「ファンタジーとアナーキー」より。「世の独裁者たちがファンタジーに対して徹底した不信感をしめし、すきあらば禁止しようとしたのには、それなりの理由があるにちがいない。かれらはファンタジーに強迫観念をいだき、こわがっているのだ。ファンタジーが人間にそなわるアナーキーな力だからである。このアナーキーな力には極が二つあり、破壊の極と創造の極がそれだ。ファンタジーは従来の思考秩序を解消し、しかし同時に新しい観念を生み出したり、すでにある観念を新しい関連に置く。有効なのはこれだけだと言い張り、すべてがその秩序のなかでスムーズに機能するように押し通そうとする、硬直したシステムが、みんなこれに抵抗するのは言うまでもないことだ。(206p)


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