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for serendipity1068 「絵でもほかの芸術でもめざすのは心の奥の響き、心の奥の風景なのだ」


大久保喬樹さんの『岡倉天心と思想』(2021)で紹介されている岡倉天心の弟子の指導の逸話より。

弟子がふり絞った弓から矢を射ろうとしている人のすがたを彫った木像を見せたときには、「弓も矢もとってしまえ。こんなものでは死んだブタも射止められない」といって立ちあがり、着物のそでをまくって矢を射る勢いを見せてやった。弓や矢をそのまま彫ればわかるだろうと安心しているあいだは、それは生きた芸術ではない。目には見えない、心に直接響くような、勢いのある芸術をめざさなければならないのだ。絵でもほかの芸術でもめざすのは心の奥の響き、心の奥の風景なのだ。(69p)

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