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今日の日はさようなら

5〜6人の初対面の子供たちに、名前を大声で呼ばれるという事案が起きてしばらく笑っていた。冷静に考えれば考えるほどおかしい状況だった。

彼・彼女らを先導した犯人は私に会うとなんだか嬉しそうにしてくれる。なんだかそれがわたしも嬉しい。犯人は英語の達人だ。

自分から習いたいと言って英語教室に通っていたのに、思いのほかまったく英語に興味がないと思い知った6才の頃。スペルも単語も構文も頭に入らない。英語を司る脳が存在しないのだと思うことにして10年以上経った。受験勉強も英語が足を引っ張った。同時に、英語さえできればこれから生きていけるだろうに、自分は一体何をしているんだろう、と頭の悪さに落ち込んだ。だから、犯人さんみたいな英語ができる人は本当に尊敬する。

そんな私でも、大人になったら洋楽を聞くようになった。勉強科目の英語とは、まったく違うものとして脳が認識してくれている。

実際は、国語と社会にしか興味のない自分を肯定したかったのだと思う。

昼に食べたうどんが可もなく不可もなくな味で面白かった。お昼ごはんは1人で食べるのが気楽で一番おいしく味わえる、と思っていたけれど、誰と食べるかによるんだな、とようやく気が付いた。大しておいしくないものを食べた時、1人だと感情のやり場に困ることがある。

夏休み期間のおかげで、わけのわからない飲食店が、わけのわからない混み方をしている。特にフードコートとなるとカオスな空間になっていて、あっという間に飲み込まれる。その中にいても、私たちは確固として独立しているように思えて、不思議な感覚を覚える。自分たちの周りだけ、繭のような見えない壁があるような。たぶん、未成年の頃の自分だったら、空間に同化していたように思う。

ああ今日も働いた、と思うけど目の前の人はもっと鬼みたいに働いてた。「フリーランスになってから丸一日の休みはないけど、けど楽しい」って言ってた。ほんとかよ。でも確かに、誰よりも忙しいはずなのにいつも飄々としていて、誰かとコミュニケーションを取ることを大切にしていて、楽しそう。こちとら週に2日、まるまる休みがあってもこんなにヒィヒィしているというのに。わたしはフリーランスになっても絶対に休日を取る、取っても困らないくらい稼いでやる、と思った。

仕事の鬼は、いつ会っても仏のように穏やかで優しく微笑んでいる。作業の片手間に共通の知り合いや飲食店の話であっという間に時間が過ぎる。面白い大人の知り合いがたくさん増えたな、と今更感じて嬉しくなった。

虫嫌いのその人に、ムカデに噛まれた話をして生活を脅かしておいた。

残業で我慢できなくてもらったどら焼きを食べようとしたら、人数分より多く減ってて「え?誰か二つ持ってった?食い意地はってんな〜」と思ったら、自分がすでに一個、持ち帰り用でロッカーに確保してた。お前が一番食い意地はってるよ。結局2個食べた。

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