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とっさの選択が逆、あなたの街の愚か者が前通ります
まえがき:クレイジーなマイルールについて
用事は一日に二つ入れない。これが僕のポリシーだ。信念だ。譲れない想いだ。揺らぐことはない。だから、銀行と市役所なんてもってのほか。キャッシュカード持ったままで、マイナンバーもって市役所なんて歩く貴重品だ。
そうだ、神経質なのだ。リスクは少な目。歩いていて、リュックごとひったくられたらどうだ。キャッシュカードとマイナンバーカードどっちも失うことになるんだ。
貴重品を複数持ち歩かないというローカルでイカレたマイルールから、どこか用事に行くときは目的地ひとつ、そんな取り決めにしている。
もうこの時点で非効率すぎるコイツということで、共感性0だと思う。だが、若いころにキャッシュカード落としたり、クレジットカード家の中で紛失したり、通帳をATMに忘れたり、このポンコツ脳ではマルチタスクが無理なのだ。ゲームボーイアドバンスの方が、圧倒的にスペック高い。
で、先日のこと僕はマイナンバーカードで市役所に
妻から委任状もらって代理で諸々の申請を。この時点で若干ドキドキしている。朝イチ9時に市役所に行くために、あらゆる仕事を整えて万全の状態で迎えた火曜日の朝。ちなみに月曜日の朝にこうした用事を入れないのは、月曜日に用事→日曜日から集中モードになるのが嫌だから。まぁ、こんな感じで厄介な性格のためだ。
日曜日をハッピーサンデーにするためにも、余計な用事を月曜日に入れない。仕事でも同じくだ。打合せ日が選べるなら、月曜日よりも火曜日。サラリーマン時代から変わらない。このあたりは共感の嵐ではないだろうか?
マイナンバーカード関連の委任状受けての申請は無事終わった。わずか20分程度。おそるるに足らん。まだ朝の9時20分だ。午前中をまるまる開けてきたものとしては、この余暇いかがいたそう!いかんポリシーに反する。まっすぐ帰るんだ。バッグには僕と妻のマイナンバーカードが入っている。
こんなもん、失くしたらえらいこっちゃ!
僕の頭の中は基本的に失くしたらえらいこっちゃ精神で包み込まれている。そういう点では優先順位最上位なのだ。
だがしかし、帰り際市役所、食堂が一般にも解放されているポスターを見かけた。そそる、トンカツ!だが、昼前からだ。オープンは昼前なんだよ。
仕込みがあるもの。コーヒー飲みたかった。モーニングやってないのか?どっかないか、市役所に。。。ない。。。市役所にはモーニングなんてなかった。みんな朝から優雅にモーニングなんてしてないさ。働いているもの。だって、火曜日だぜ!(火曜日の出来事でした)
モーニングおじさん50。が覚醒した
50歳、妻からは脳に栄養が足りていないというよりも、脳そのものが機能停止しているから栄養自体が多すぎるのでは?といわれるおじさんたぁ、僕のことだ。栄養過多で枯れるとはなんとも皮肉な食糧事情だ。
話を戻す。ウチの市役所にはモーニングなどない。くぅ、無性にパン・ゆで卵・アイスコーヒーに日経とスポーツ新聞が読みたくなった。どこだ、そんな地面すれすれの俺の欲望を丸ごと抱きしめて、慈しみ、育み、叶えてくれる夢の場所は?
グーグルマップで検索!
あ、コメダがあった!コメダコーヒー!コメダ珈琲!だ!!正確にはコメダ珈琲店だ!バカめ、俺!大陸発見張りのココロオドルモチベーションに火が付く。駐輪所に急ぎ、チャリに乗る。そうだ、ここから15分ほどの場所にできたんだよ。イオンモールができたぐらいに喜び涌いた、地元が泣いたあの場所が。
おい、マイルールはどうしたんだい!
バッグにはマイナンバーカードが夫婦分ある。失くしたらえらいこっちゃVSコメダ珈琲店のモーニング。強固なバッグの中にさらにメッシュのチャックゾーン。その中にチェーンで結び付けたポーチ。その中にマイナンバーカード。これなら、落とすことはない。リュックのファスナーをしっかり閉める。マイルールを破りつつも、食欲が勝つといういつもの定番お約束モードが発動したのだった。
急ぐ、コメダへ。もちろん我モーニングを所望す!
いざ、モーニングを喰らう!かかってきなさい
9時50分、憧れのコメダ珈琲店だ。店内にはモーニングを日々のルーティンにしていそうなおじいさん・おばあさんたちが。余裕の人生、こうなりたいものだ。新聞を定期購読すると思えば、モーニング550円(※店舗によって違うみたい)+新聞なら普段の朝食の手間やお金を考えても、ペイできるんじゃねぇか?!
いざ開かんドアを!「いらっしゃいませ」の声が響く。「お好きな席におかけください」の声がおっかけてくる。いいハーモニーだ。心高まる。ヨシ、憧れの地は、空いている。ボックス席に陣取る。日経とスポーツニッポンをゲットし、メニューを見る。
おぉ、モーニング。飲み物を頼めば付いてくる、フローチャート方式のモーニング。パンと卵とバター(種類は選べるよ)をロックオン。ベルを鳴らす。オーダーをしようとした、その時。電話だ。見慣れない電話番号だ。コール回数が4回を越えた。オーダーをとりやめ、電話に出た。
電話の主は、息子の学校からだった
見知らぬ電話をとる。これほど情報系搾取詐欺が横行している時代において、見知らぬ電話をとるたぁ、なんたるマヌケ。重要な電話なら留守電にいれるだろうに。あぁ、マヌケですとも。ですがね、これは重要な電話でございまして、べんべん。
「●●さんのお父様でいらっしゃいますか?」
「はい」
「私、■■高等学校の△△と申します」
「はい…どうかしました?」
「●●さんが、学校でケガをされまして。今から病院へ連れて行きたいのですが、お父様がご希望する病院ございましたら、ご家庭の方で病院へと…」
(ん?●●(息子の名前ね)がケガ???)
汗がびっしょり。鼓動がバクバク。こんな電話がかかってくるとは。
息子が学校でケガした10時5分。
「お父様?」
「あ、はい。病院連れて行ってください。僕も後から行きます」
「お医者様が来てくださいと言われれば、ご連絡します」
「そ、そうなんですか?」
電話を切る。だいたいこんな感じのやり取りだった。汗が止まらない。おしぼりがブットいタオル状。顔を拭く。水をゴクゴクと飲み干す。店外に出て通話をしようと思ったものの、動揺してしまい動けなかった。ご迷惑!
(いますぐ、家へ帰って<15分ほど・チャリ>、病院へ行く準備をしておいて。ん?どこの病院?後で電話するって言ってたな。たしか。それより前に嫁にLINEをしないと。)
引き続き、顔を拭く。なぜか新聞の見出しが気になっている。で、店員が注文を取りに来た。
「ご注文お決まりですか?」
(あかん、水飲んで、おしぼり使って、店内で電話通話して、新聞少し読んで、やっぱり帰ります、はアカン!何か頼まないと。事情説明したらわかってくれるかも。あぁ、なんかそんなことしたら、次来にくくなる)=0.5秒
「アイスコーヒーください」
途切れそうな声。アイスコーヒーなら急いでゴクゴクと飲み干して帰れる。ホットならそうはいかない。それに、アイスコーヒーの方が早く出てきそう。俺には時間がない。
「この時間ですと、飲み物をオーダーいただきましたらモーニングにできますがいかがいたしますか?」
(あう!パうッ!モーニングだった!そうだ、ドリンクに付いてくるんだ)
フローチャートのメニューを差し出される。
チョイス・パン!!
山形パン:ふんわり食感のトーストだ。定番のやつだな。
ローブパン:ロールパンみたいなのだ。数量限定?なくなり次第終わり?
セレクト・サイドメニュー
定番ゆでたまご:ゆでたまごだ!普通の。
手作りたまごペースト:これはサンドイッチにするとうまいヤツだ。
コメダ特製おぐらあん:そそられる。そそられるな。
選べ・塗るやつ
バターまたはマーガリン:これ一択だろ
いちごジャム:バターと重ねたい!
ぬる豆乳:ダークホースが常に用意されている。おぐらあんも然り!
「モーニングセットになさいますよね?」に同調する愚か者
状況整理しておこう。
1.市役所からの帰り。
2.イレギュラーバウンドでコメダ珈琲店でモーニングをと参った。
3.が、しかし、息子が学校でケガ。
4.着席したコメダ珈琲店で、おしぼり使い、水がぶ飲み、新聞少し読んだ。
5.このままでは帰れない。
6.アイスコーヒー頼む。
7.モーニングが漏れなくついてくる、どーする?
「も、モーニングセットにしてください」
コールが入った!オーダーが入った!おいおい、モーニング頼んだよコイツ!全細胞が呆れた!そんな瞬間だった。いつ病院に呼ばれるかわからないのに、モーニングを頼んだ。
(まぁ、パパっと食べればいいし。そうそう)
自己肯定感、自身の選択に肯定というサポーターを送り込む。だが、アイスコーヒーが出てきた瞬間、一つ悩むのだ。
(これ、他のメニュー時間かかったらあかんやん)
大丈夫、ほぼ同時に我選びしモーニングがやってきた
1.山形パン:ふんわり食感のトーストだ。定番のやつだな。
2.手作りたまごペースト:これはサンドイッチにするとうまいヤツだ。
1.バターまたはマーガリン:これ一択だろ
1-2-1の選択だ。全27通りのなか、ほぼ冒険していないチョイス!
慌てて食べるモーニングは味がしない
結局結論はコレだ。慌てて食べるモーニングは味がしない。味がしないというと怒られるかな。味がわからない、が適切だろう。
パンの上にたまごペーストをオンするなどという余裕もなく、たまごペーストをいきなり食べきり、パンを食べ、アイスコーヒーを流し込む。作業のモーニングだった。罪悪感があったのか、きっとあった。罪悪感の塊が。
この時点で10時15分。オーダーして3分、食べて2分。驚異の速さ。新聞を片付け、会計に。まったくゆっくりしない。他のお客さんと時空が、時間の流れが全く異なる。
周りを見渡すと、ゆっくりモーニングを楽しんでいるおじいさん、おばあさんたち。「ちょっくら、病院いくからよ!」と心のなかで呟き、店を出た。
あとがき:あなたの街の愚か者が前を通った
帰宅し、マイナンバーカードを2枚片付け。落ち着いてから情報整理して妻にLINE。(パソコンでLINEした、しっかり打ち込めるから)。で、息子の学校まわりの病院を検索。アタリは付けた。この病院かな?と。
息子から電話が。病院診察終わりで、状況確認。先生に代わり、別日に改めてお金を払いに行って欲しいと。翌日息子に保険証を渡してというのも何かと不安。保険証失くしそうだから。なので、学校の先生に
「今から、その病院いきます」
と伝えた。この時点で、先生も、「あぁ、この人は自営業だな」とわかったみたい。
息子の保険証、財布に2万円(実際は1,580円だった)、ペンとノートと手帳(なぜか習性)を持ち、病院へ。お医者さんから、説明も受けて書類もらってお金払って終わり。
途中、息子の学校の近くにうまい蕎麦屋を見つけていたので、行こうかと思った。だが、この時点で僕のステータスは
・市役所行って
・無駄にモーニングを食べて
・電車賃かけて息子の学校近辺へ行き
・病院で1,580円払っただけのフリーランス
という状態異常だったので、もうまっすぐ帰って家でササっと残り物をたべることに。帰りの電車で嫁にLINEして、終わり。
家に着いたら、13時を過ぎていた。もう半分終わっていた。今日と言う火曜日が。とっさの選択が逆な愚か者が前を通った日、見た人は目の前の時空が歪んだだろう。急いでいるのに、急いでいない選択をする、その矛盾こそ、僕そのものなのだ!と自己肯定感に再度援軍を送り込み、明日も生きるとする。
おわり
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