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お前が壊したのは金の電子辞書かい?

我が子の金の電子辞書が起動しない

諸行無常というけれど、(万物は、絶えず変化し生まれては消滅する、永遠に変わらないものなどないのだの意)朝起きたら、我が子の電子辞書がぶっ壊れていた。

電子辞書、中学に入ったときに学校から二択を迫られた。金の電子辞書と銀の電子辞書、たしか金の方は¥45,000ぐらいで、銀のほうは¥35,000ぐらい。便利な世の中になったものだ。ウチは何を考えたんでしょうね、金の電子辞書を我が子12歳・中1時に授けたのだった。カラー画面で、辞書が10冊ぐらい。明治時代ぐらいの文豪の小説も入ってるし、うらやましい限りだった。

ちなみに、僕の高校生時代、カバンにいつも入れていた「ジーニアス英和辞典」。古典の授業があるときは「古語辞典」でカバンがチギレル!体育の日に英語があると、それはもう、体操服を制服の下に着こんでいかねば無理だったなと。

30年前の話です

いやぁー、いい時代になったな。それでも子供の通学カバンはパンパンだ。電子化されてありがたいが、教科書なんかはまだ荷物なんだよね。

で、こんな電子化時代に困ってしまうのは、「使えなくなるフラグ」が立つってやつだ。紙と電子で「使えなくなるフラグ」がいつ立つか比べてみよう

紙=教科書や辞書なら
・濡れた:カバンの水筒のパッキンが弱いとね、ドライヤーの出番だ
・破れた:教科書と弁当箱がガサーーッって大喧嘩、テープで治療だ
・失くした:名前書いていると、そのうち見つかる
「使えないフラグ」があるが、どちらかというと致命的ではない、一時的だ。

一方、電子媒体ならば
・濡れた:なぜ濡らす、壊れる
・落とした:なぜ落とす、壊れる
・失くした:学外でなくしたなら、もう見つからないな
といった具合で「使えないフラグ」がまっすぐ立っちゃう。ここから一歩も動きませんよのテイで、使えませんって!と。

電子辞書くん、いったい君は

子どもが朝の歯磨きをしている間に、部屋に入り窓を開けるのが、僕の重要任務。そのときに、発見したのが床に横たわる電子辞書だった。

子どもの勉強机の下の床に。踏みつけられたわけじゃない。きっと机から「猫」が落としたんだ。きっと。外観は特に問題なかった、電子辞書くん。パカッとあけると、画面が起動するはず…なのに、起きない。断固として起きない。「朝ですよ!起きて」程度では起きないくらいの、スリープモード、だと思っていた。

「見てみろよ、寝てるんだぜ、こんなにきれいなタッチパネルなのに」

外観問題なしなので、「電池がないんだな、きっと」ということで、新しい単三電池に交換。いつもなら、電池交換をすると、時刻合わせの画面になるのだが、とにかく画面は漆黒の闇、暗い。「起きろ、さぁ目覚めるんだ!電子辞書よ!」との問いかけには応じない。

本体後ろ側にある、RESETホール、通称=爪楊枝ブッコミ穴。うまく起動しないときは、この穴をぐりぐりすればいいとある。爪楊枝ブッコミ穴といいながら、爪楊枝が穴のなかで折れると厄介なので、付属タッチペンの先でこれでもか、とぐりぐりする。

私は、断固として起きません!

起きません、一切。うんとも、スンとも、ニャンとも言わず、もう黙秘レベルの。弁護士が来るまで何も話しません、的な。強硬な金の電子辞書改め、眠り電子辞書。約5万円近い電子辞書。買って5年。保証期間は3年。くぅ、保証期間越えとる。まぁ、スマホと思えば、機種変時期だろうけども。大学受験終わるまでは、機種変したくないわぁ、と。

といっても、日々の勉強にも欠かせない存在になってきている電子辞書だから、早々に手は打たねばならぬ。

修理を考えてみた

もち、修理と言う選択肢を最初に考えた。メーカーのサイトのオペレータとチャット機能ってのがあり、修理について確認。「朝、息子の部屋に入ったら何も変わらない姿ではあったが、床で横たわっている電子辞書がありまして…」というくだりを書いて送信した。いかん、話が長いのが露呈している。それなりの事情を説明しつつ、優しいオペレータさんは、電源の入れ方・状況を確認したうえで、「基盤が壊れている可能性が高いですね」と相成りました。修理代概算で9千円。修理期間が長くて1カ月。むぅ。金額はいいとしても、修理期間が長いなということで保留に。

再購入を考えてみた

新品の新型電子辞書を買う:高いよ5~6万
新品だが旧型の電子辞書を買う:それでもそこそこ高いね3~4万
新品で同じモデルの電子辞書を買う:お、1~2万

まて、中古はどうだ?となり、Amazonからメルカリまで広く探す
中古なら同モデルで1万円程度だった。だがね

・タッチパネルが作動しません
・パスワードを忘れてしまい、名前が変更できません
・電池の消耗が早いです
みたいな、踏み絵みたいな、これ飲み込んで買うのかってのに踏ん切りはつかない。それなりに中古の事情もあるのだろうが、そう言われて買う気も失せるってもんだ。

そこで見つけた、同モデル中古品

業者で販売している中古品。我が家にある金の電子辞書と同一モデル。未開封の新品らしい。いわゆる新古本みたいな。その未開封エピソードみたいなのが、販売ページに掲載されていたので一読。「学生時代に一度も使わなかっため」とあった。むう、これはいいんじゃないかと思い、購入を決意。だがしかし、それはメルカリ。メルカリポイントが足りん。手元に3000ポイント。散々無駄遣いしてきたポイント。わが身を呪う。

あと、7000ポイント必要だ。トータル10000ポイントほど必要になってくる。そこで、ある決断をする。PS4の積みゲームを売ろう。もうおっさんなんだから、ゲームいつかやる、じゃなくて、もう売ろう。やる時間もない。目も見えない。ゲームのシステム覚えられない。指が動かない。ゲームしながら寝てしまう。さまざまな反ゲーム運動が身体の中で起こっている。いい機会だ、売っちまえってことで、10本ほど、出品。

売れた売れた、すぐ売れた。あっというまに20000ポイントほどになった。随分強気の値段設定だったが、売れたんだ。で、夜、妻に「メルカリで買おうと思うんだけど」と提案。

妻からの意外な言葉

「メルカリで買おうと思うんだけど、電子辞書」
「なんで?」
「いや、未開封の新品があったんだよ」
「ほう」
「10000ポイントほどで、ゲーム売りまくってポイントはある」
「ゲームを売ったのは評価してやろう、だが、中古はやめろ」
「未開封新品だよ」
「大学受験に使うんだろ。それは縁起がいいのか?」
「つまり…使わなかったってことは…」
「一度も使っていないんだろ、電子辞書」
「もしかして、紙の辞書使ってたかもよ」
「もう、妄想はよせ。妄想はお前の小説で十分だ」

ということで、売主側は業者だったもののその背景の「学生時代に未使用だった」という点が、なかなかの読み違いをしていた。本当のところはわからない。勉強ガチなのか、勉強あまりしなかったのか。そして、もしも起動しなければそれは保証もないものだ。

ただ売れて手元からなくなっていったゲームたち。見送り、コンビニから発送しまくった。いつもの店員さんが、「この人ホンマにヒマなんかな」と思われているはずだ。

メルカリの発送、本やゲームってA4の茶封筒に入れて折り返して梱包するんだけど。複数発送の時は、封筒に本のタイトルやゲームの名前を書かないと、誤送になりかねない。1誤送は、2誤送でもある。地獄のクレームを避けるべく、僕は1つ送ると、レジから外れて、改めてまた茶封筒に入れた発送物をカバンから取り出し、画面を起動し、バーコードを生成し、レジにならぶ。昨日は八回コレを繰り返した。いっぺんにやるとゼッタイ誤送する。後ろに並んでいる人にもなんだか申し訳ない。

慎重派のメルカリ複数発送術

修理・新品・中古、結局のところ

長い話になったが、結局のところ新品を買うことになった。まだ選択肢の分岐は続く。親が勝手に買うわけにもいかない、子どもにどれを買うか確認が必要だ。店頭で買うか、ネットで買うかも選ばねばならぬ。予算はあるが、必要ならまた金の電子辞書を買わなければならない。

壊した責任の追及

結局のところ、5万近くした電子辞書が壊れ、週末には少し安いバージョンの3万円ラインの電子辞書を買うこととなった。金ではない、銀でもない、銅の電子辞書だ。財布係としては少しホッとした。そういえば、あの電子辞書が壊れたのはだれの責任なのか、息子の管理不行き届きなのか。妻からは責任追及するな、疑わしきは罰せず精神を植え付けられておる。だが、冗談半分で息子に聞いてみたのだ。

「お前が落としたのは金の電子辞書かい?」と息子に聞いたら、
「いいえ、私は落としておりません
と机から落とした=壊したかどうかの責任追及をサラリと避けて通りました。なかなかやるな。「金の電子辞書」のところに引っかかってくるかと思いきや、壊したってところをきちんと否定してきた。

さぁ、働こう。生きているとお金がかかる。マッハで通り過ぎていくお金たち。もうすこし、ここで休んでいきなよ。

もしも神様が
「お前が落としたのは、金の電子辞書かい?」
と聞かれたら
「私が週末に落とすのは、3万円をヨドバシにです」
と答えておこう。



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