自分ごと:35年前の一眼レフ

入院を明後日に控え、眠れずにいますので、ちょっとぐだぐだにお付き合いください。

先日、母に入院について話をした際に「お父さんが抱え込んでいた、伯父さん(母の兄)が買ってくれたカメラ」の話が出ました。

それってさ、〇〇伯父さんが買ってくれた、ニコンの一眼レフでしょ?
あれって、父さんが掻っ攫ってって、いじくり回している最中に酒ぶっかけてレンズの中までかびたんじゃなかったっけ?

そう母に問うと、母がこっそり父から隠して、母のタンスの中にしまっていたそう。

え?酒の話は?黴びた話はどうなったの?

たぶん、この答は母にはわからない。母には興味がなかった話だからだ。

このカメラ、母方の伯父が買ってくれたもので、兄弟の中で興味を示したのは私だけだ、多分。
多分というのは、もしかしたら弟も興味を持っていたかもしれないと言うこと。
私と弟はオタク気質で、ただ違いは、私は発信したい方、弟は受け取って、受け取ったものをどう解釈したかを広めたい方。
どう言ったら分かるかなあ…なんというか、自分が先に読んだ本を誰かに貸すときに、あらすじと自分の解釈を全部話してドン引きされるタイプ。
なので、面倒くさいカメラ(当時なので、自動巻き取りすらないフィルム一眼)になんか、興味はなかったかもしれない。

私は、とてつもなく嬉しかった。もしかしたら、この見慣れた田舎の長方形でしかない風景も、カメラを通してみたら違って見えるかもしれないと思い、カメラを担いで山や神社に登り、そこから見える風景や花々を撮影した。もちろん、カメラの手入れも、インターネットすらまともになかった時代に田舎で手に入れられる知識で、何とかがんばった。

でも、カメラはいつまでも私の手元にはなかった。いつの間にか父が我が物顔でカメラを酒を飲みながら、いじり回していた。
父の手元に行ったものは、帰ってこないことを知っている。
だから、諦めた。しかも、酒を掛けたと。
酒は糖分の塊だから、しみこんだらそこですぐ黴びる。レンズも本体もおじゃん。
だから、諦めた。忘れようとした。

そして父が亡くなってもうすぐ一周忌という今、母からあのカメラの所在を聞かされた。
これはもう、次回実家に帰ったとき(一周忌)に引き取って帰ってくるしかないでしょう。
そして、自分で分かる限り、調べる。
そしてニコンさんに、オーバーホールをたのんでみる。
どうか、カメラとレンズが生きていますように(ケースの皮カバーとストラップは無理そう)。
私は、あのカメラにもう一度翼を与えたいんだ。
きっと、世界が広がる。だから、翼を与えたい。

そのために、私は手術を乗り切ろう。その後も何とか乗り越えよう。もちろん、一番はパートナーのために。

私、今まで一度も神仏に自分を助けてとお願いをしたことがないのですけれど、今日初めて、お寺参りをしたときにちょこっとだけお願いをしてしまった。なんだか、仏さまに申し訳なく…

そんな、土曜の夜のぐだぐだでした。
ああ、カメラが無事でありますように!

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